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[コメント] オズ はじまりの戦い(2013/米)

ある平凡な奇術師の非凡な出来事 または私は如何にしてカンザスを離れてエメラルドシティにたどりつき統治するようになったか
tredair

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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といった話を期待していたので、オズがもともと女心を巧みにあやつる女たらしでかなりの野心家でもあった、という設定からして鼻白む。

もともとのオズシリーズが持つ魅力は、どこまでも平凡な少女が、知恵と優しさと勇気を体現する仲間と出会いともに旅を続けていくうちに自らもその大切さに気付き成長していく、というところにあると思うからだ。

とりわけ優れているわけでも逆境にあるわけでもない、どこにでもいる田舎育ちの巻き込まれ型ヒロインの誕生こそが当時までの「何かと特別なヒロイン」とは一線を画していてかえってエポックメイキングだった、という論を読んだこともある。

だからこそ、あの悩み大き等身大のスパイダーマンを創り上げたサム ライミだからこそ、私はかなり今作に期待していた。

平凡な奇術師がどんなふうにオズの魔法使いになっていく(覚醒していく)話なのだろうかと、勝手にワクワクしていた。

でも蓋を開けてみたら全然違っていた。田舎でくすぶってはいるがある意味かなり非凡なちゃらけた男、をめぐる特別な女たちのバトルばかりが目立っていた。心に響くようなテーマはなく、まるで中途半端な『イーストウィックの魔女たち』を見ているかのようだった。

いっそオズをもっと徹底的なブラックヒーローにして、完全にR指定な大人のダークメルヘンにすればよいのに、とさえ思った。こうなったら陶器の少女も猿もいらない。いや、登場させてもよいがいっそ手酷く扱えばよい。そうすることでもっと主人公に興味をもたせてくれ、いっそ憐憫の情を抱かせてくれ、愛させてくれ、と思った。もっとよこしまに!もっといやらしく!もっともっとイヤな奴に! と。

そうなってしまえばもうまったくオズシリーズではないので、オズシリーズ好きな私でも「完全な別作品として」受け入れられたのではないか、と思います。公開するやいなや観に行くことも、まずなかっただろうけれども。

(評価:★2)

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