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[コメント] if もしも…(1969/英)

映像に陶酔、言葉に反応。
tredair

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







画面が突如モノクロになったりカラーになったりするのが不思議で、また、教室に自転車で乗り入れる教師や引き出しの中に寝そべる校長、人気のない廊下を裸で歩き回る若き女教師など「規範とされる人々」の方がよっぽど奇異な行動をとっているのがおもしろい。

鉄棒演技とそれを見つめながらセーターを着る少年のアップ、いつもの部屋でのビニルをかぶっての窒息ゲーム、バイクで延々とかけ抜けていく美しい風景、カフェで興じる虎を模しての媚態など、いかにも映画的な映像が心地よい。

授業中に教師の一人が言うセリフ「電線と線路がのびるにつれ、人々は判断力を失った。」は実に印象深く、また、ミックの「世界の終わりは近い。呪われた人類はみな灰と化す。間違った戦いはない。暴力と革命だけが純粋な行為だ。戦争は最後の創造的行為だ。」という言葉はとても恐ろしかった。 「革命」をおこす直前の「世界を変えるのは武力のみだ。」という言葉もろとも。

タイトルの「if」に象徴されたものは、現実と虚実がないまぜになった、ミックたちの共同幻想的感情であったのだろうか。

(評価:★5)

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