そりゃー、ナツコはヤな奴だよ。でも、どんなふうに自分がヤな奴なのかということに気付くには、あまりにまだ世の中を知らなすぎる。あまりに真っ直ぐすぎる。馬鹿すぎる。無邪気すぎる。ひとことで言えば「若すぎる」。

だからこそ私は彼女のした行為も放った言葉も非難したくはないし、むしろ、これからの彼女をせいいっぱい応援したい。放火で家が焼けてしまうだなんて、もう、つくづくヤになるほど「同情」されて「かわいそう」と連呼されるだろうから。

「かわいそう」という言葉を他人にぶつけられるのがどんなにみじめなものなのかだなんて、実際にその立場になってみるまでわからない。というのがおおかたの現実なのではないだろうか。ナツコの欺瞞というかいやらしさに気付いてしまうのは、それはある程度いろんな経験をしたということを証明することなのかも？とさえ思うというか。つまり、いわゆるオトナ（便宜上この語彙を使わせてもらう）だからわかる感覚なのではないか、と。

ナツコのキャラがいかにも「オトナ」の視点から見たうえでの「実はいやらしい少女」であるという前提で話が展開していくのには、なんだかあまりに都合がよくて、根本的に何かがずれているような気がしてしょうがなかった。てゆーか、あまりにナツコが「かわいそう」。