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[コメント] ポストマン(1997/米)

堂々の5点
たかやまひろふみ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







とにかく評判の悪いこの映画。ラジー賞も5部門受賞。シネスケでも評価は極悪で、平均が2004年1月現在で真っ青の2点代。

でも言わせて下さい。もしこれをTV東京放送の90分バージョンを見て文句を言うのならば、それはちょっと待ってくれませんかと。確かにTV東京の映画のセレクションは最高です。お昼に海洋冒険もの特集とかひっそり試みるし、深夜になれば『バブルと寝た女たち』とか放送するし、木曜日はヴァンダム映画を流して「あなたの心に何が残りましたか」と言うし、それはもうお世話になっています。

しかしこの映画は3時間近くあるんです。それを半分にしたら詰まらなくなるのも当然のこと。嘘から出た真、瓢箪からコマ、大いなる伝言ゲームとも言うべきこの映画の面白さを、より多くの人に知って頂きたい。そこでわたくしが、本作の切り捨てるには余りに惜しい、旨味汁の詰まった部分を紹介したいと思います。

ケビンの奴隷時代。荒くれ軍団の夜の憩い、映画鑑賞。上映されるのは何故か『ユニバーサル・ソルジャー』。大ブーイング、石礫が飛び交い、代わりに交換されたフィルムが『サウンド・オブ・ミュージック』。頬に傷ある奴等もみんなニッコニコ。

デッチUPでポストマンの座に収まったケビン。彼に憧れる青年に「僕もポストマンなりたいんです!」とせがまれ、掛け軸を読みながら宣誓の儀式を敢行。「雨にも負けず、風にも負けず(中略)そんなポストマンにわたしはなりたい。おめでとう、これで君はポストマン2号だ!」

食うもの食って頂くもの頂き、村をそさくさと退散しようとするケビン。しかし前からそのウサン臭さを見抜いていた保安官兼村長に「ちょっと待ったあ!」と呼び止められる。緊張に震えるケビン。しかしそこで保安官兼村長が差し出したのは一枚の封筒…。

隣町に到着し歓待されるケビン。手紙を配りながらの質問責めに。「復興アメリカ合衆国により中央は着々と整備が進んでいる」と大法螺吹かし、「ニューヨークはどうなってるの?」と問われて返した答が「大丈夫、ブロードウェイもやってるよ」

一転して長い逃亡生活。馬の蹄の音に脅えるも姿を現したのは一人の少女。それもポストマンの格好。驚き自己紹介を求めると「わたしはポストマン128号。あなたは?」

少女に連れていかれたのは何とポストマンの村。村中にポストマンが。中心で「みんな聞いてくれー。今日もポストマン1号からの手紙が届いたよ」と語っているのは、そう、あの時のポストマン2号!

初代ポストマンとしての楽しい日々。だがやがて荒くれ軍団との戦いを余儀なくされる。屋上に潜んで待ち伏せ。通り過ぎる荒くれ軍団を一斉射撃で皆殺し。めっさ卑怯。ここはたぶん『ワイルドバンチ』のオマージュ。

各地でポストマンの炙り出しが始まる。いつぞやの保安官兼村長が捕えられ、ケビンの居場所を吐け、吐かねば銃殺と脅される。彼は叫ぶ。「ラン、ポストマーン、ラーン!」…『スパルタカス』や『ブレイブハート』にも負けない名シーン。

抗争が激化し、このままでは全滅だとポストマン解散を決意するケビン。「みんな聞いてくれ。手紙が届いた。諸君らの奮闘は聞いている。だが(中略)安全を鑑み、ここにポストマン解散を宣言する。…復興アメリカ合衆国大統領より」

それでも続く戦い。ポストマン2号も捕縛され、他の隊員たちとまとめて処刑されることになる。まだ若い隊員に「ぼくはポストマン256号です。あなたは?」と名乗られ、応じる「わたしはポストマン2号だ」と。はっとする256号。一瞬の後、敬礼!(ビシッ)

半隠居からついに決戦を覚悟するケビン。騎馬集団を率いて荒くれ軍団と対峙する。だが向こうは百戦錬磨のツワモノばかり、翻ってこちらは素人の少年少女。ケビンが選択した行動とは…。

ああついに枚数が尽きてしまいました。ここからの驚天動地の展開、そして胸踊る結末については各自皆さんがお確かめ下さい。それでは、ごきげんよう。

(評価:★4)

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