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[コメント] 八つ墓村(1977/日)

金田一作品では市川崑監督のシリーズが贔屓なのですが、『八つ墓村』においては、野村監督に軍配が。渥美清演じる金田一はともかくとして、実話をモチーフにした怨念渦巻くおどろおどろしさが見事に作品から発せられている。
TOBBY

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子供の頃にあの名コピーと共に鬼気迫る山崎努の殺戮シーンを観たときの恐怖たるや。幽霊などのホラーは全く怖がれないのだが、殺人者や怨念などの発する不気味さは昔から苦手。で、本作はその手の日本の風土に根付いての異様な雰囲気が満ち溢れている。原作者の横溝正史が執筆に際し誘発されたと言う「津山30人殺し」という実在の事件を後に知り、一層、本作の恐さが倍増。さらにストーリーのキーとなる鍾乳洞にも独特の薄気味悪さが存在するので、不気味さに関しては太鼓判。飄々とした所が魅力である金田一耕助という役柄を本作は配給が松竹ゆえ渥美清が演じているのだが、あまりにも本人のイメージが強すぎてズレが生じているのが残念。役者陣の圧巻は何と言っても妖艶でシャープな小川真由美。舞台となる田舎の風景に唯一馴染まずスーツ姿で知的に佇む様は非常にクール。透けるように白い肌と穏やかな口調ながら内に秘めたる魔性の様を見事に演じきる。彼女の存在感が凄すぎて後のリメイクで同役を演じた浅野ゆう子は霞んでしまう。日本に潜むミステリーの薫りを充分堪能させてくれる作品。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)sawa:38[*] G31[*] Shrewd Fellow[*]

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