[コメント] ダーク・シャドウ(2012/米)
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ピアノに倒れこみ、絶望し、うなだれる当主。本来ならピアノが「ジャゥーン」とか悲痛な音をあげるべき場面なのに70年代仕様の電子ピアノなのでスッポコスッポコとリズムは鳴るし、「ジュワー」って電子音がでて雰囲気は台無し。もちろんこれは笑うべき場面なのだが、自分には笑いと同時に「悲痛さ」も感じた。うまく説明できないけど、例えばシェイクスピアの悲劇とか、きつすぎる悲痛さはどこか滑稽に映る事もあるというか表裏一体な気がする。
当初、汽車のベラ・ヒースコートが美しい・・・位しか思っていなかったけど、この作品は、監督もスタッフもどこかのりにのっている気がする。敢えてアリス・クーパーにあれだけの時間を割く時間配分の偏りにも、なぜか好感を持ってしまいました。
(本作の元は、1965年前後のTVドラマだそうだが、もしや監督は子供時代にファンだったのでは?)
例えば終盤、黒い煙を上げて燃え上がる洋館を背景に、夜の崖に向かうヴィクトリアのシーンと音楽が凄い。「古典的なよくある構図じゃん」っていうのが普通かもしれないけど、この作品はその古典的なTVドラマが元ネタだからいいのだ。
世界と登場人物への「愛」が感じられる。 本作では諸悪の根源の魔女も、かつては無心な目の少女だったのだ。 「君のそれは支配欲だ」と言われ、涙を流してそれは違うと自分の脈打つ心臓を「受け取って」と差し出す。こんな描写はそうそうできないと思う。
何より結末の「解決法」が、当初自分が思ってたのとピッタリだったもんで・・・(とはいえ、ラストの彼女が200年前の生まれ変りなら”ヴィクトリア”はどこに行ってしまったのでしょうか。上書き消去?)
P.S. 姉が狼少女とくれば、弟も当然、「ごめんなさい。実は僕もオーメンで」だと思った。
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