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[コメント] 千と千尋の神隠し(2001/日)

激しく「郷愁」を誘う映画。あの宮崎駿監督が、いつもの説教臭さを控え、極力、映像と話の構図で語ろうとする姿勢もすき。ただ、中盤の木製タイムカードはやめて欲しい;(余談ですが、そういう切り口では「大人のための」作品かも思います、あの世界に「郷愁」を感じるのは、やっぱ大人の方でしょ)。
YO--CHAN

**ネタバレ注意**
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 生まれてこのかた、行った事も見た事もない台湾や欧州の田舎の駅とかに郷愁を感じてしまうのは一体なぜだろう。(親の記憶がDNAに転記されて、無意識領域に展開されているのかな)  ひなびた街が一気に生気を取り戻す描写、そして、ラストでトンネルを振り返る彼女の視線は、『天空の城・ラピュタ』の最後で空をいつまでも見ていた二人と同じだ。  説明不足というのも最もだけど、自分としてはこれ以上説明して欲しくない。  それに、これに「十分な説明」をつけると、なんかとてつもなくイヤミな作品になってしまう気もするし(笑)

 逆方向から言って、本監督のどこか説教臭い部分が、昔から妙に気になるのは、こういう部分の秀逸さのせいかもと思う。  こういう素晴らしい映像に、ありふれたメッセージを混ぜ物してほしくないのだ。  監督もそこらへんの事情を考慮してくれたのか、主人公が「そうよ、私初めて知ったの、他人の為に本(以下略)」なんてセリフはない様だった。

 毎度、こんな小さな事が気になってすまないと思う。  思えば監督も、これが製作された時期や社会情勢から見て、こういったメッセージを発信せずにはいられなかったのかもしれない… 

P.S.  海外旅行先のボロいTVで偶然見ました。  わざわざ日本語をフランス語に吹替えてあるもんで、セリフはチンプンカンプンです;  ある意味、期せずして、「言葉も覚える前の小さな子供状態」で、本作と出会えたのかも(笑)  他の方のコメントでも感動した様に、かつて我々は、まさに『ミツバチのささやき』のイサベルのフランケンシュタイン物語に頷くアナだった。(大阪万博の抽象映像さえ、そういう目で・・・)。 そういう網膜で、本作を見たらどう映ったか、今となっては推測するだけ、哀しいです。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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