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[コメント] 50回目のファースト・キス(2004/米)

 ラブコメといえど、「ラブ」より「コメ」寄り、つかほとんど「コメ」、はっきしいって下品なギャグも多いので、意中のあの人と観にいってラブラブするぜってお膳立てにはむいてないかもしれません。しかし
桂木京介

 ラブコメといえど、「ラブ」より「コメ」寄り、つかほとんど「コメ」、はっきしいって下品なギャグも多いので、意中のあの人と観にいってラブラブするぜってお膳立てにはむいてないかもしれません。しかし映画自体はけっこう面白かったので紹介しますです。

 舞台はハワイ、アロハアロハで話が進みます。南国の自然もビューティフォーです。  ドリュー・バリモア、すなわちチャーリーズ・エンジェルでいちばん太い(肉感的ともいう)ひとが演じるのは、交通事故のダメージで、一度眠れば前日のことを完全に忘れてしまうという悲運にみまわれた女性です。アダム・サンドラー演ずるプレイボーイは、その彼女に一目惚れし、忘れられても忘れられても彼女にアタックしようとします。

 でもここ、個人的にはつっこみを入れたいところです。ドリュー・バリモアってそんな美人じゃないじゃん、と。いや、そりゃどっちかといえばもちろんきれいどころではありますが、MNO(モテない男)ならともかく、アダム・サンドラーって女はよりどりみどり、モテモテのプレイボーイという設定なんですよね、なんでそんな男がすべてを捨ててドリューに走ってしまうのかと疑問を呈したい。そりゃオメエの趣味の問題だろ、って? すいません。そうかも。

 笑わせてくれるのが、毎日手をかえ品をかえしてドリューにアタックするアダムの姿です。なんせ、日が変われば記憶はリセット、一からやり直しですなのですから。アタックが失敗しても、翌日になれば彼女は全部忘れているので毎日リトライが可能。だけどそれは逆にいうと、いくらドリューと親密になれても、翌朝にはすべてパァということでもあります。

 不思議なもので、前回成功したアプローチでも、日が変われば失敗したりします。記憶まっさらの、同じ人間にたいしてですよ。女心というものは複雑ですな。

 忘れられても忘れられてもめげないアダムは、試行錯誤の結果、彼女の記憶障害にたいする有効な手段をみいだし、徐々にその心をひらいていきます。このあたりのくだりはちょっとホロリとくるかもしれません。ようするにあきらめるなという単純なメッセージなんだけど、それを実践するというのは非常に困難なことなのですから。

 物語は、この「あらすじ」から想像できるものとはまったく異なる結末を迎えます。  それこそ、「そうきたか!」と目を見張るようなラスト。物語の基本アイデアがいいだけに、最後はおさだまりの「エエ話」におちつくだろうと予想していた僕の予想は、いい意味で裏切られます。このラストに驚くだけでも観る価値があります。

 こういうコメディは脇役のキャラ立ちが重要だと僕は勝手に思っているのですが、その点も本作はオッケー。主人公の友人たちは存在だけでけっこう笑わせてくれます。(みな一様に下品なので、そこんとこ注意) ちょっとしんみりした場面でも、アホな脇役たちがちゃんとオチをつけてくれたりして、なんだかうれしい。

 音楽的には、常夏のハワイが舞台だからか、お気楽なのがおおいですね。作品のテーマソング的役割をはたすのは、The BEACH BOYSの名曲"Wouldn't it be Nice"(邦題:「素敵じゃないか」)で、なかなかもりあがります。エンドロールをみていたら、劇中アダム・サンドラーがウクレレ弾きながらテキトーに歌う(でも歌は上手!)曲までも、音楽として認識されていたのは笑いました。

 以上、基本的にお気楽なラブコメなので、年間のベストに選んだりすることはなさそうですが、軽く観てみる分にはお勧めです。アロハオエオエ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)Keita[*] スパルタのキツネ[*] わっこ[*]

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