高校まで“在日”の方が身近にいない環境で育った私は、この映画をはじめ見たときにいまいち実感がなかった。大学では研究室に在日の子がいたけど、なんてことはない、普通だった。だからといって、彼女自身がそう感じていたかどうかは分からない。

金城一紀の見てきた社会と私の見てきた社会とは違うのか？世代の差なのか？とも考えてみたけれど、彼とは１０歳しか違わない。見てきたものはそう違うこともないだろう。

普段はあまり気にせずに生活しているので、詳しいことは分からないが、法律や制度の上でもまだまだいろいろ障害はあるようだし、“高校時代に在日の子がいたけど、日本名を名乗っていて、在日であったことは後から知った、本当に仲の良かった子なのに･･･”という子の話も聞いた。まだまだ、見えてない問題はあるようだ。

私たち日本人が、“考えすぎじゃない”とか“そんなこと昔の話よ”とか“もうそんな時代じゃないわっ”なんてこの映画について語っても、それはその他大勢の意見であって、その中でマイノリティな存在の“在日”が発信するにはどれほどの勇気がいるか。この問題の実状は私たち日本人の分かることじゃない。

差別とはそんなもので、強い立場のものがいくら“差別なんてない”と感じていても、弱い立場のものからしたらまだまだ問題が山積みだったりする。弱い立場の言い分は表面に出てきてないことも多い。

そんな環境では、恋愛映画の名を借りてああいう形で発信しただけでもすばらしい。

ただ、個人的に椿のキャラが好きでないので、★−１デス。