★5 | ハッシュパピー 〜バスタブ島の少女〜(2012/米) | 水没の町や破壊獣に又も宮崎世界のエッセンスを嗅ぐのであるが、一方で少女が垣間見る大人世界の生臭さ。境界上で危うげに戸惑いつつアッケラカンと世界を制する少女に『ザジ』の転生身を重ねる。あざとさとの際どいバランス上で成立させた力技を感じる。 | [投票(2)] |
★3 | ラストスタンド(2013/米) | シュワが老残を晒すことなく身の丈キャラ設定を選択したことにホッとするのだが、となればイーストウッドの類似品とも感じられる。周到な計画の割に化物カーでぶっ飛ばす設定。その無茶振りを今いち生かせてない。ジウン演出は統率を欠いている。 | [投票(2)] |
★2 | 新・明日に向って撃て!(1979/米) | ブッチがナイスガイだってのを前作ではニューマンが説明なくとも十二分に体現できていたのに対し、本作では前面に出しすぎて何か嫌らしい。非情さが無く温いし、リリシズムは安い。そっくりショーとしてはベレンジャーは表情も含めかなりな出来だが。 | [投票] |
★4 | L.A. ギャング ストーリー(2013/米) | ブローリンやノルティは勿論ゴスリングのキザ演技を含め斜に構えることと無縁の野郎どもアホ一直線映画で、捻りもクソもないのが素晴らしい。一切のギャグ要素を廃したフライシャー演出の今更を恐れぬイジラシいまでの転身ぶりに少し惚れた。 | [投票(2)] |
★3 | トータル・リコール(2012/米) | 取り憑かれたように画面内に情報を氾濫させ、緩みを恐れ性急な展開に汲汲とし余裕も無い。マーケット論理の奴隷と堕したとまでは言わぬとも御苦労さんなこったと思う。民衆不在のレジスタンス映画ってのも精神を見誤ってる。ケイトもミラと同レベル。 | [投票(1)] |
★5 | リンカーン(2012/米) | 挿話を描くだけで背景に在る歴史を浮かび上がらせる精神のダイナミズムに撃たれる。その構成と台詞に負う手法をデイ・ルイスの明晰なテクが完璧に担保。終盤の戦場は晩年の黒澤が拙く試みた詠嘆の完成形と思えた。票読みの劇構成が蛇足に思える程に。 | [投票(2)] |
★2 | 四十七人の刺客(1994/日) | ジャンル不問で原作を蹂躙をしてきた男が流されているだけの衰え。回復不能なまでに緩みきった市川節の老残。含蓄の計略士とは正反の高倉の無残も相俟りミスマッチ地獄の中でアクションも出し殻。唯一の救いは浮きを承知の中井貴一の意外性だけ。 | [投票(1)] |
★3 | HK 変態仮面(2013/日) | 股間を押し付けダメージを与えるには耐えがたき饐えた臭いや忌むべきリアル形状が必須なのにそこを避けている。福田が井口や三池に所詮は及ばぬと感じる所以で、使用済みでしか効果が無い設定も可愛い刺繍で茶を濁す。もっと塗れてみろと思う。 | [投票(1)] |
★5 | ウィ・アンド・アイ(2012/米) | クソガキどもの遣り放題や青臭い吐露をさして見たくも聞きたくもないが、この順次退場し行く設定の発見のみでもゴンドリーは勝利を得ただろう。加えて時間軸の進行がもたらす光線の変化が行きつく文字通りのマジックアワーの至福。二度とは戻れぬ永遠。 | [投票(2)] |
★2 | 悪魔の棲む家(1979/米) | さしたる刺激が無いことを承知しつつ、怠惰に流されるだけの仕事。ベストセラー原作でヒットが予測されてるに甘え使い古しの設定に依拠し斬新さの欠片もないスタッフやキャストの迎合のルーチンワーク。何よりあんまり怖くないのが決定的に致命的でやんの。 | [投票(1)] |
★4 | ペントハウス(2011/米) | 出がらしを集めて絞れば案外美味い出汁が出た的妙味もあるのだが、存外に素晴らしいトランプタワーのロケ効果とリアルな感謝祭パレードを取り込んだ臨場感。ラトナーの演出力も舐めたもんじゃないと思わせた。ランディス経由の50年代風味の良作。 | [投票] |
★3 | 藁の楯(2013/日) | 中盤以降も再三に屑野郎を命を賭して守ることの是非が問われるが今更感が拭えず、映画はもっと異なる命題を俎上に載せて欲しかった。新幹線の疾走感も相俟りアップ多用で護送チーム内の確執が火花を散らす前半は魅せる。松嶋・永山に新味があった。 | [投票(5)] |
★4 | 汚れなき祈り(2012/ルーマニア=仏=ベルギー) | 良く言えば通り一遍でないが悪く言えば未整理。現代の悪魔祓いという題材を得て尚ムンジウは撃つべき対象に躊躇してる。女2人の関係の特異性が抽出され過ぎ、教会という体制は後景に退いた。ただ、ラストを筆頭に描写の即物感が醸すクールネスが堪らん。 | [投票(2)] |
★5 | ストリート・オブ・ファイヤー(1984/米) | 浚われた姫奪回劇という古典モチーフを復古するに衒いのないアホ直情が全篇を支配。ロックンロール寓話の字幕に誘われ最高潮のロック歌謡ショーが幕開き、ワイプ多用の冒頭30分に持っていかれる。ヒル演出も馬脚を現さずラストまでテンションを保つ。 | [投票(1)] |
★3 | ピッチ・ブラック(2000/豪=米) | 惑星不時着後の30分は孤絶を描写するにアングルやサイズを精緻に検証した才を感じた。ただ、見進むにつれ沸き起こる懐疑が確信に変わり心は冷えていくのだ。「これって丸っきり『エイリアン2』やんけ」…と。善悪の此岸を提示する非情なラストは一種新鮮。 | [投票] |
★5 | ザ・マスター(2012/米) | 劇的構成の醍醐味があるわけでもないが、映像の醸す豊穣が半端ではない。撮影と美術が渾然となり提示される情報の質量と、その中で揺蕩う演者の含蓄ある居住まい。ゲスでいかがわしい品性を達観の高度から俯瞰する一大エピックロマン。PTA最高到達点。 | [投票] |
★4 | ジャスティス(1979/米) | 漫画チック未満の微妙なカリカチュアの按配が良く、ポイントでは結構金もかけ厚味もある。並行する多くのプロット群は有機的錯綜を見せないのだが、それが味でもあり、自殺癖の判事や仕事の矛盾に悩む弁護士等、本筋以外の多彩な人物群像が味わい深く魅せる。 | [投票] |
★3 | さらば復讐の狼たちよ(2010/中国) | コメディベースな緩さは良いとしても、一転非情に舵切る瞬間の振り切れが半端でもっさり感がいや増す。「馬車列車」や「女太鼓」とか珍奇への異様な拘泥は好ましく、殺され方に残虐嗜好が垣間見えることも買うが、如何せんナルシズムと思い入れ過剰で長いわ。 | [投票(1)] |
★4 | 横道世之介(2012/日) | 世之介のキャラは強固な太陽ではなく周囲の偏向キャラに照射され追憶に光を留める月光として介在するのが良くも悪くも吉田修一的。濃密な80年代の空気と吉高の愛くるしい笑顔で十二分に持っていかれるが、終わってみれば結局釈然としない感が残る。 | [投票(1)] |
★3 | ホーリー・モーターズ(2012/仏=独) | カラックスを愛すべきイジケ野郎だとは思うが、にしても刹那に耽溺し自虐的に過ぎないか?正直ミノーグがビノシュに重なり痛々しく照れ隠しのウータンは白ける。ラヴァンの11変化は唯一「メルド」が破壊的だが哀しいかな焼き直しなのだ。 | [投票(3)] |