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けにろんさんのコメント: 更新順

★4死刑にいたる病(2022/日)羊たちの沈黙』底浅バージョンめいてるが揺るがない徹底悪な本質が露呈する様は骨太だと言える。居場所のない男が存在証明を希求する展開も筋が通り腑に落ちる。演出白石と演者阿部の再タッグは実力者同士のがっぷり四つの趣きがあり力相撲を堪能。[投票]
★2水の話(1961/仏)インスピレーションを頼りに行きゃあ何とかなるだろの戦略のなさが帰結した素材の残骸。料理は俺に任せろの意気も空転し素人芸と50歩100歩の体たらく。2人が名前を連ねた若気の至りモニュメントとして記録に残していいが舐めとんのかい思いは否めない。[投票]
★4ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR(1976/日)グループ内の不文律や統制を乱す者への聴取・説明・説得が繰り返し描かれるが、それは我々の職場・コミュニティ・サークルでのそれと似たり寄ったりで、ドロップアウトして来た者が再び排撃される。矛盾の露呈とアイロニー。消去された過激と溢れ返る言葉。[投票(1)]
★3極道血風録 無頼の紋章(2000/日)保守に抗する反動のアナーキズムという構図を描けていないから表層的にしかならないし、ガチガチの保守肩入れ姿勢が救いようもなく大時代なのだ。大体に的場が決定的にミスキャストな気がする。ともどもに立ち役の柄じゃない。演出は手堅いのだが。[投票]
★3TITANE/チタン(2021/仏=ベルギー)金属との融合願望が寄って来る人間の殺戮衝動に結びつく謂れも喪失を抱えた親爺の心の空隙に安堵を覚える道理も解らない理解不能の3段構えだが描写のコクと本気汁がハンパなくて見入る。相貌や体型に加えた変形を押し破り見破られる女の性への詠嘆的共感。[投票(1)]
★1ラブレター(1981/日)サード』で流行監督に躍りでた東陽一第2期女性映画群の掉尾を飾る「にっかつロマンポルノ」という極北感は皆無で、又かの自己満足的陰鬱世界が繰り広げられる。そこにはジャンルに対する戦略的配慮は欠片も窺えない。自己の作家世との怠惰な馴れ合い。[投票]
★5親愛なる同志たちへ(2020/露)モノクロの精緻なショット分解が60年代欧州名画を彷彿とさせる一方パノラミックな民衆弾圧描写の剛腕。老齢コンチャロフスキーの言わずに死ねぬの執念が結実。民衆視線を排した体制側2人の捜索行脚はアイロニカルな視座を付与。父親の過去述懐も戦慄。[投票(2)]
★1夏の秘密(1982/日)たのきん映画ヒットの夢よ今一度と少女版3人組パンジーで勝負に出た東宝。って言うほど勝負したとも思えないダラな出来。まあ、たのきんみたいな白痴的能天気さを持ち合わせていない普通少女パンジーちゃんたちにはこれで消えて良かったのではなかろうか。[投票]
★3果てなき船路(1940/米)先行きないドン詰まりの船路に女達の乗船・爆弾の荷積・スパイ疑惑と彼是起こるが成行は断ち切られ閉塞感は弥増すだけ。ベルイマンかと見紛う救いのなさ。陸に上がってやれやれも束の間ボッタクリバーで身包み剥がれる顛末はミッチェルの奈落へ連結。[投票]
★3ボディガード(1992/米)立つ世界の違いが、又人種の障壁が生み出す恋の刹那感。とくれば、これは『ローマの休日』の現代版焼き直しとも思える。監督が今いち巧くないのでしまりがないがカスダンの脚本も主役の2人も良い。特にホイットニーのカリスマが醸す虚実ない混ぜ感。[投票]
★5英雄の証明(2021/イラン=仏)自己正当化の為ついた小さな嘘が事態をどんどん悪化させる。ファルハディ自家薬籠の作劇は取材に基づく設定と融合され目眩くキレ。どうしようもない奴と切って捨ててもいい筈が姉や息子や義兄や恋人は皆こいつを護ろうと必死。家族とは元来そういうもの。[投票(2)]
★2炎上(1958/日)この薄暗い画面の連続の中に反俗世の象徴たる主観的絶対美としての驟閣寺は一片たりとも垣間見えないので、主人公の懊悩がどうにも説明不足で薄っぺらい。結果、それを消滅させ自らも消えるという滅びの美学は陰々滅々たるコンプレックスの形骸的表象となる。[投票]
★3ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密(2022/米)大見得を切る冒頭が期待煽るがエディは影薄くキャサリンは不在。アリソンエズラの帰趨といったコクのある傍筋は駆け足で消化される。結局おっさん2人の愛憎劇に収斂するもののどうにも薄味。兄奪還の刑務所シークェンスだけが印象に残る。[投票(1)]
★4狂熱の孤独(1953/仏=メキシコ)実存主義的懊悩といっても今更の感があるし、それを緻密に描ききれてるとも思えないのだが、ミシェル・モルガンの節度或る気品と滲み出る女っぷりが説得性をもたらしている。辺境での世捨て感と閉塞状況の刹那がもう少し濃厚にあればと思わせる出来だ。[投票]
★3赤い影(1973/英=伊)因果関係ない憑依と亡くした娘の記憶との連結が出たとこ勝負の感がある。水都ベニスの裏路地や暗渠に巣食う地縛の霊魂は唆るモチーフだがそこへの拘りもないようだ。ローグの演出は小手先のカットイン使いまくりで萎えるしベッドシーンのそれは理解不能。[投票(2)]
★4僕の村は戦場だった(1962/露)現在進行形の部分は今だありきたりな物語の尻尾にひきずられ、その静謐描写の連続は倦怠との臨界ギリギリとも思われるのだが、回想シーンのシュールな突出が失われし恒久平和をリリカルに表して惜涙が滲む。その時制の往還が全篇に亘っていればと思わせた。[投票]
★4ナイトメア・アリー(2021/米)エッジは効いてないが豊穣な厚みで縁取られたピカレスクロマンであり、意外性のかけらもないタイプキャストが揺るぎなく脇締める中、無色の立ち役クーパーは染まってゆく。もはや古典芸能。転がりに転がってストンと落ちる様はホールインワン見てるよう。[投票(1)]
★4助太刀屋助六(2002/日)感涙ものの縦構図の切り返しやストップモーションの絶妙なタイミングや緊張に割り込むユーモアの機微など紛れもなく喜八節の復活。対峙する仲代小林が醸し出す嘗ての映画の味。しかし、真に驚愕したのは真田の確信的な役の把握力であった。[投票(2)]
★3コーダ あいのうた(2021/米=仏=カナダ)旅立ちを引き止める母とケツ押す兄。軋轢は一応描かれるが社会から孤絶する家族を置き去りにする葛藤は生半可ではない。それをバカ陽気キャラを立て逸らしてる感も。デュオ組む少年や顧問の音楽教師のナイスキャラ。漁港町の風情など本当に素晴らしいのだが。[投票(4)]
★3ANO ANO 女子大生の基礎知識(1981/日)女子大生への社会学的考察は無くとどのつまりどうでもいい話だってのは皆十分に判った上で、それでも精一杯努力し貨幣対価に相当するものを創ろうとすることは素晴らしいことだ。ロリータな森村陽子はロマンポルノ史上空前絶後の可愛らしさだったと思う。[投票]