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けにろんさんのコメント: 更新順

★2この子を残して(1983/日)幼子を残し死にゆく親の手記ならば木下自家籠中の題材だろうし、そこに絞ればいいのに大時代なメッセージ性を加味してバラバラ。大体、永井博士は被爆で死んだのではないのだから根本的に構成に齟齬を来している。原爆投下後の長崎の惨状も無い方がマシ。[投票(1)]
★4真夏の夜のジャズ(1959/米)奴隷交易の中心だった避暑地で白人セレブが企画したジャズフェスは混沌時代のとば口の熟れた錯綜を描出する。陽光とデカダンと黒人シンガー。夕刻の薄暮から夜の熱暑へ。対比を強調し時間が造出された1日。ジャンル分化前のジャズの始原と観客の熱気は真実。[投票(2)]
★3真実の瞬間〈とき〉(1991/仏=米)歴史的事実を描いて脚色にも限界があるにしても、ポリシーがあるかのようでその実逃げてるだけの主人公がもどかしい。点景のように描かれる渦中にあって火の粉を被った者にこそスポットを当てて欲しかった。全般締まりがないが最後の査問会には溜飲を下げた。[投票]
★4ブリング・ミー・ホーム 尋ね人(2019/韓国)喪失感の表現も沁み入る前半だが、後半、掟破りなジャンル逸脱にも拘らず均衡が維持されるのは特異な環境の創出による。越境の寸前で踏み止まるゲス人間コミューンのリアリティは各人の来歴や力関係のバランスなど精緻で細腕ヨシエの反攻も適合化される。[投票]
★5アタメ 私をしばって!(1990/スペイン)正真正銘のストーカー犯罪者が思い描く一方的な理想郷だが、マイナスに振れ切った針が周回してプラスに転じた如き割り切り振りは疾しさを覚えつつも爽快。純情であることは則ちに異常であることを体現する主人公のキャラが新鮮。演じる主役2人も共にナイス。[投票(2)]
★3女の顔(1941/米)ノワール的キャラ仕立てで人物出し入れする前半から、大構えな見せ場が連なる陰謀劇への跳躍。決して悪くないキューカー演出だが余りのヒッチ好みの仕掛けに、そっちで見たかったの思いが拭えない。クロフォードの目力が展開の破綻を繋ぎ止める。[投票]
★4いつも2人で(1967/米)甘さが微塵もないシニカルさに驚く。長い夫婦人生の極めて具体的な何局面かをモザイクみたいな錯綜話法でつなげて手法的オリジナリティがあるし、我が身に突き刺さるようなリアリティもある。惜しむらくはオードリーが最早20代を演じるに不適合なこと。[投票(2)]
★4新喜劇王(2019/香港=中国)怒涛の被虐の嵐が逆転回収されるシンチー食傷パターンだが、後半でバオチアンが加虐の主線に躍り出てから叩き落とし拾い上げるが入子化し加被虐が反転する。それがリアル役者人生を反映するメタ映画の様相を呈するのだ。スタ誕物語の補完として十全。[投票]
★3デストラップ 死の罠(1982/米)裏の裏の裏の繰り返しみたいな直線的ひっくり返しでは待ち構えてる観客の裏はかけない。付加される映画的情緒も決定的に足りなくルメットの演出はどうにも緩く精彩を欠く。『十二人』の頃のエッジの効いたキレは望めないとしても。ラストもあんまりだわ。[投票]
★3TENET テネット(2020/米)ブラナーが逆行をどう利してるのか不明で、主演コンビがやってることが自作自演の絵解きにしか見えない。ノーランはリアルな世界の軸が見えてないのでスパイ映画ってもガキのお遊びになる。そんなに逆回しがオモロイのか、よかったねとしか言えない。[投票(9)]
★2任侠外伝 玄海灘(1976/日)定型演技を繰り広げる安藤宍戸では既成枠を打ち破るパワーに欠け、物語からは在り来たりの因果話しか感じ取れない。演劇的アナーキズムをスクリーンに焼き付けるには逆説的に周到な映画戦略が要件なのだ。終盤のドブ川でのたうつ根津は流石だ。[投票(1)]
★4男はつらいよ 旅と女と寅次郎(1983/日)庶民版『ローマの休日』めいた御伽話が、鄙びた民宿2階部屋で素をさらけ出した都はるみが浴衣姿で寅との間合いをつめるリアリズムで地に足がつく。寅屋縁側でのアンコ椿の華やぎの裏で哀惜かみしめる寅とさくら。シリーズ稀に見る楽曲使用による外連味。[投票(3)]
★2刺青(1984/日)墜ちて行く女の描き方がワンパターンな『赤い教室』の弛緩し切った再生版。石井水原の欠落は補いようがなかった。切欠の方便としてしか「刺青」が意味為さぬなら谷崎原作を持ってくる必要など更々ないわけだ。耽美とは程遠いルーチンワーク。[投票]
★3窮鼠はチーズの夢を見る(2020/日)禁断領域に踏み込むか止まるかの振り子はさとうが止まる側に引っ張ったおかげで反動をつけ越境する。その冷えた視線の交錯が牽引する前半はサスペンサブルだが、落ちてしまってからは急速に凡化。男同士の愛が須く段取り芝居めいて感傷の形骸がシラける。[投票(1)]
★4修羅雪姫(2001/日)ドニー殺陣も樋口特技も予想を遥かに超えた素晴らしさ。釈由美子の踏ん張りと腰の据わりも報われる幸福なコラボ。加えて終盤の久作松重の芝居の味わいが感涙ものだ。もしシリーズ化されるのなら大事にして欲しい魅力的なキャラと設定。[投票(2)]
★3ミッドウェイ(2019/米=中国=香港=カナダ)双方向に気を遣った戦局羅列映画で本当は局面の間にあったことを考察せねば今撮る意味もない。大局観に欠けるエメリッヒの志向はディテールへ向かい急降下爆撃の描写は見応えあるし発艦失敗の件など目新しい。東京空襲の空軍挿話は忸怩たるものがあるが。[投票(2)]
★5シュレック(2001/米)途中から皆良い子ちゃんになっていき、ドラゴン再登場に至っては又もやスピルバーグ印の優良お子様映画に堕するかと思ったら…最後にやってくれました!そうこなくっちゃ…4者4様のキャラが立ってるが中でもエディ・マーフィは生涯のベストロール。[投票]
★4mid90s ミッドナインティーズ(2018/米)少年が外の世界へ足を踏み入れるときの憧れや慄きや喜びや躊躇いといった感情の揺れを驚くほど精緻に捉え切る。演じるサニー坊が本当に良く、これを引き出したジョナ・ヒルは端倪すべからざる手腕。90年代の意匠や16ミリの質感は背景の必要条件。[投票(2)]
★3嵐が丘(1939/米)オベロンに若々しく透明な情熱が足りなくオリビエには粗野な反逆のエナジーが足りない。39年のハリウッドではやむを得ないにしても、おっさんとおばはんでは根本的に成立しない。つまらないダイジェストの域をこれっぽちも出るものではないのだ。[投票]
★4マロナの幻想的な物語り(2019/仏=ルーマニア=ベルギー)緩やかに下降しゆくマロナの生涯だが、老いた父と幼い娘を抱えつつ受け入れた母の決断が彼女の10年の晩年を決めた。それは悪くない半生であったと思う。最初の大道芸人との束の間の日々は幼い彼女の夢想の天国。その夢幻の表象は限りなく映画を延伸させる。[投票]