★3 | 山猫は眠らない(1993/米) | デジタル時代にアナログな映画しか撮れないロッサはいじらしい。語りすぎる時代に語るに不器用なのも好感を持つ。その感性はスナイパーという職業のリアリズムに同期するのであったが自覚が無いので無骨の丸投げとなり色気の欠片も無い。チョイ足りない。 | [投票] |
★5 | SUNNY 強い気持ち・強い愛(2018/日) | 出来レースに安牌狙いの配役なのだが、それでも確信的に浸ったもん勝ちの強度を満喫した。失われた20年でパープーなコギャルも痛手を噛みしめた大人になるだろう。その経験は無駄ではなかったと思おうとする意志。そして限りない女性賛歌。全肯定の潔さ。 | [投票(4)] |
★2 | その後の仁義なき戦い(1979/日) | 役者は揃ったが、組織の川下で青春ものめいた友情とかをチンタラやってるだけで包括的な組織論に波及しないのでは「仁義なき戦い」の冠が泣く。笠原イズムはもっとドライでクールであった筈。工藤演出もTVの段取り感が抜けず大ざっぱな定型に終始。 | [投票(2)] |
★4 | 逆噴射家族(1984/日) | 周りが変だと言ってる自分が結局一番変なのであった…が再周回し辿り着いた社会リセット待望論。類型的前半ではあるが老父の為に掘り始めた行為は逸脱してアナーキーな破壊に向かう。終息かと思えた後の顛末は『爆裂都市』を経た石井の力業で容認したい。 | [投票(3)] |
★3 | おもひでぽろぽろ(1991/日) | 「都会」で喪失したアイデンティティを「農村」で取り戻すと言うのが図式的だが、一方で、多くのものを得る為、我々は如何に多くのものを棄ててきたのかという直截で生硬な問いかけは真摯。何より「おもひで」の昭和40年代は俺にとって余りに同時代でツボ。 | [投票] |
★4 | 泣き虫しょったんの奇跡(2018/日) | サボった訳でない茫漠の10年を誇張なく気付けば終わってしまったという事実として描く。再起動の切欠もしかりで龍平の低温演技の一貫が世界を規定するのだから豊田らしからぬベタ話法も良しと思う。それでも盤面接写の駒運びは躍動感に満ちている。 | [投票(1)] |
★4 | 社葬(1989/日) | 疾走感あるオリジナル脚本で受けた老練舛田の柔軟な腕が冴えた文句無しのナイスムービー。役者陣の面子も揃ったが両雄相見える緒形と江守が織り成す余裕のかまし合いが快感。一方吉田日出子が醸す家庭描写の良さが絶好のアクセントになった。 | [投票(1)] |
★3 | 小間使(1946/米) | 階級に根差したギャグに彩られてるが大しておもろくもなく、薬屋のおっさんが全然魅力無いのでは端から勝敗が見えた出来レースで恋愛のサスペンスが決定的に不足。若くおきゃんなジェニファーが新鮮であるのとラシェルの的確なフレームワークは見所。 | [投票(1)] |
★2 | 父よ母よ!(1980/日) | 結局、親が悪いのだという単視眼的な見解しか持ち得ないのが限界と思うが、それ以前に80年代バブルのとば口の時世と乖離しまくりの年寄りの描いた妄想の若者群像は見てても木っ恥ずかしい。自己の懐旧的な想いに内省化し沈殿しゆく木下の無残な遠吠え。 | [投票] |
★4 | 判決、ふたつの希望(2017/レバノン=仏) | 家族を虐殺され故郷を蹂躙された者に軽々に融和や和平を言う資格が誰にあるかという思い。駐車場での一幕は糸口にはならず男は侮蔑し殴られるをもって心と体の痛みを等分するしかない。レバノンの街角で吹き出した民族怨嗟の潮流が大騒乱に至る顛末は生煮え。 | [投票(2)] |
★3 | 昼下りの情事(1957/米) | おっさんが小娘にメロメロという設定が生半可で振り切れてないので薄ぼんやりしてる。アンチモラルを厭わないワイルダーがクーパーに遠慮した本懐でない妥協作。そんなこんだで列車を使った王道なラストが来るのだが当然に目出度いの感慨も湧かない。 | [投票] |
★3 | ペンギン・ハイウェイ(2018/日) | 平穏な日常が異物混入により変容し少年少女が大活躍して平穏を取り戻すというウンザリな中二病世界だが、おっぱいへの異様な拘りと蒼井優のリアリズムが世界に風穴を開ける。ひと夏の経験で少年は何かを永遠に喪うという鉄板テーゼが辛うじて刻印された。 | [投票(2)] |
★3 | E.T.(1982/米) | 使い廻しめいたUFO始めスピルバーグにしてはお手盛りの廉価ムービー。ET造形の逆説と少年少女の純粋な庇護欲の対置は鯔の詰まりピーターパン症候群なメルヘン描写に帰結する。そこには計算はあってもワンダーは無い。サディズムを封印した出涸らし。 | [投票] |
★4 | 海潮音(1980/日) | 風土に根差した家父長制度の崩壊が侵入者により齎される文学的バロックを志向した意気は買うが舌足らずで生硬。だが効果音としての和製ポップスと旧家屋のトリッキーで余りに映画的な構造といったアンビバレンツが混在し荻野目の天才がそれらを突き通す。 | [投票(1)] |
★2 | 汚れた英雄(1982/日) | 削ぎ落としたのではなく描ける内容が限られてるから無機的になった。結果的に女をこますこととバイクを走らせることという事象に特化して純粋映画になることもできたろうに哀しくも角川の精神支柱はどうしようもなく浪花節であった為に限りなくダサい。 | [投票(1)] |
★4 | 検察側の罪人(2018/日) | 善悪論は置いといて語り口の映画として原田の資質に適合した題材。加速された台詞廻しと編集は許容範囲を超過した情報を盛り込みバックボーンに厚みを持たす。要の取調べシーンでは対峙する空気を推し量りニノの暴走を呼び込んだ。逸脱こそが映画だ。 | [投票(1)] |
★4 | プリティ・リーグ(1992/米) | 時代の間隙を埋める徒花であったにも拘らず誠心誠意がむしゃらに走った彼女たちへの賛歌であり文句無しに気持ちいい。一方で1人の男の再生の物語にもなっているのも又抜かりなくハンクスの場末感が最高。男は女で生きもするし死にもする。真実である。 | [投票(2)] |
★3 | 吸血鬼(1932/独=仏) | 即物的で感情移入の余地がない会話が世界を孤絶させその異郷感は禍々しさ一歩手前なのだが突き抜け切れない。ジャンルムービーの予断がそうさせるから。棺桶視線による仰角移動の街並みの陳腐や杭打ちの哀れ白骨標本化のトホホや悪漢医師の粉塗れの刑の冗長。 | [投票(1)] |
★3 | フィッシャー・キング(1991/米) | 2人の男のトラウマ脱却話としては回り道が多すぎメッセージが直に伝わってこないし、大体、自己憐憫から簡単に堕ちてしまう奴に共感したくもない。なんだかホームレスって気楽な稼業っぽい映画的な言説に安住している。ギリアムの中世嗜好も我田引水だ。 | [投票(2)] |
★3 | BLEACH(2018/日) | 母殺しの悪霊に物語は収斂せずに死神兄妹&彼氏(?)の痴話げんかと併存することで拡散しパワーを失う。随分と手前勝手で甘っちょろい世界観と思うが少年漫画にそれ言っても始まらない。ホロウの造形が宮崎チック過ぎるのは興醒めだが花ちゃん力演。 | [投票(1)] |