★4 | ロスト・ワールド ジュラシックパーク(1997/米) | 焦らしと溜めを意識した1作目のオーソドックスに比し、こいつは兎に角くどいまでの恐竜出まくりの満喫感。緩いカンディからカミンスキーに代わりフィルムの深度が増幅。終盤は『キングコング』や『ゴジラ』へのリスペクトを交えた洒落。粋だと思う。 | [投票(2)] |
★4 | トキワ荘の青春(1996/日) | 移ろう時代と世界に対峙し不動の軸足として静物の如く立ち続けた男。相当に見え透いたテーマではあるが心を打つのは、実在人物だということ以上に市川の信念に揺さぶられるからなんだろう。もう一方の軸足の手塚が幻影のように垣間見えるのも粋である。 | [投票(2)] |
★4 | 眠る男(1995/日) | 硬直した形式主義な閉塞感に若干の嫌悪を感じつつも絵力には魅せられる。多くの登場人物の連関しない生きとし生ける混沌は、群馬という箱庭的限定空間に培養されたアジア的カオスにリンクしつつ呈示されダイナミズムを獲得。優れて「今」であると思う。 | [投票(2)] |
★4 | 学校の怪談 GAKKOU NO KWAIDAN(1995/日) | プレーンな演出姿勢と応える子役達の演技には上質の児童映画の趣がある。今更感ありそうな古式床しいお化けにも衒いが無く正対している。クマひげのクリーチャーだけ香港映画みたくて今いちだが他のイメージは良い。ラストの哀感も含め脚本が素晴らしい。 | [投票(2)] |
★4 | 十二人の怒れる男(1957/米) | 現実社会は強固な意見を持つリー・J・コッブ型の少数と大多数の付和雷同型人間で構成されている。良識の象徴フォンダに生活背景が皆無なのは偶像であるからだ。しかし、皮肉にもそれが映画的興奮を喚起する。飛出ナイフの件は何度見てもしびれる。 | [投票(2)] |
★4 | 平成狸合戦ぽんぽこ(1994/日) | 擬人化された狸を突然にリアリズム狸として視点を切り替える手法がベタとは思うがファンタジーと現実を往還するに十全な効果をあげている。メッセージが直截すぎて生硬とは思うが斜に構えて傍観するよかマシだろう。百鬼夜行の圧倒的な見せ場の配置も周到。 | [投票(2)] |
★4 | フリークス(1932/米) | 彼等は孤絶した世界の規範に基づき断罪を行うのが、そこには似非人道主義的胡散臭さが微塵も無く、躊躇なく論理的に帰結するだけ。ブラウニングは彼等の世界の内部へと融解し共に哄笑する。そう言う風にしか撮れない映画をそう言う風に撮ったのだから。 | [投票(2)] |
★4 | マルメロの陽光(1992/スペイン) | 何に拘り何に納得がいかぬのか凡人には理解に難いのだが、その無為とも思える時間が何時しか内実から染み出る「本物」の実体に照射されて輝きを帯びる。これは撮影技法レベルのものではない。寡作の画家を寡作の映画作家が撮る時間軸の同期が呼び込む何かだ。 | [投票(2)] |
★4 | 逃亡者(1993/米) | 何か新味を加えようとか奇手を用いてハッタリをかまそうとかの作家的自己主張が全くない。しかし、真面目に真摯に取り組まれたものは見ていて気持ちいい。その正義が信じられた時代の往年の正統アメリカ娯楽映画的風味に一種の懐かしさのようなものを覚える。 | [投票(2)] |
★4 | レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ(1989/フィンランド=スウェーデン) | ダサおもろいとかヘタウマとかを意図してやればあざとくなるのだが、そもそもの「意図」がピンずれしてるので限りなく「天然」に相似となり、挙句には何故だかその笑いのセンスがハリウッド映画の最良の部類に近似してしまうというのも不可思議なウナギ映画。 | [投票(2)] |
★4 | ジュラシック・パーク(1993/米) | 導入の描写が半端な接写のみで構成され掴み損ねているから相当に緩い序盤がしんどい。が、ティラノサウルス登場から退場までのブッちぎりのモンタージュが一気に心臓をわし掴む。その余韻で相当に平凡な後半を疾走させた。出来不出来の落差に評価困惑。 | [投票(2)] |
★4 | 妖婆・死棺の呪い(1967/露) | 牧歌的世界の怪異小話としてパラジャーノフ的くすんだ原色が味わい深く、まあ悪くないと嘗めていると、やがて始まる3夜の祈祷が夜毎に凄みを増して行き一種のカタストロフィにまで達してしまう。驚天動地の弾け具合。 | [投票(2)] |
★4 | 黄昏(1951/米) | 『嘆きの天使』から扇情性と加虐味を取り除き親愛と矜持を加味した。最後の一線ギリギリで持ちこたえた男のプライドが泣ける。重厚なワイラー演出も良いが、やはり2大名優オリビエとジョーンズが凄いの一言。 | [投票(2)] |
★4 | 地獄の警備員(1992/日) | 元力士というキャラがアイデアのみで肉体の存在としてのそれには実は殆ど言及されず商社内の絵画部なる背景も脳内世界に終始する。ホラーに拘泥する振りをしながら否応なく形而上的世界観に色気を出してしまう歪さ。ただ、そういう藻掻く様が面白いのは事実。 | [投票(2)] |
★4 | バロン(1988/英=独) | 思い込みが激しすぎて相当にダラダラした物語だし、時には丸っきり漫画レベルの稚戯でしかないのだが、金に飽かせぬここまでの徹底ぶりには敬意をはらいたくもなる。カメオが効いておりロビン・ウィウィアムスが特に凄く深淵ささえ加味している。 | [投票(2)] |
★4 | お熱いのがお好き(1959/米) | 巧緻なパロディを織り交ぜた高品質な喜劇映画とは納得するが、キワどい題材だけに「高品質」であることが物足りなくもある。ラストも破壊的とまではいかない。ただ、何と言ってもモンロー!彼女のオーラだけはエターナル・サンシャイン。 | [投票(2)] |
★4 | 砂の女(1964/日) | 具現化されたイメージが原作読みの想像世界を超えたか微妙。外世界の村人たちが形象を付与され土俗的猥雑さが増す一方でシュールなエッジは後退した。岸田今日子のネバつくようなエロスも同義だがこれは原作を凌駕している。あと、砂の圧倒的な美も。 | [投票(2)] |
★4 | 櫻の園(1990/日) | 大真面目にチェーホフに取り組む女子高生たちというだけでも随分面映ゆく正視できないのではと思ったが、斜に構えることが恥ずかしいとさえ思わせる「世界」への没入ぶりで、何事も信じて真面目に事を成せば誰はばかることなしなのだと思った。 | [投票(2)] |
★4 | アンタッチャブル(1987/米) | 正攻法で成立する訳ない今更のベタ題材にデ・パルマはベタをもってベタを制すとばかりに天下の『ポチョムキン』ネタをモンタージュを解体してブチ当て、メソッドの権化デ・ニーロを配してコスナー・コネリーを引き立てる。希有な戦略的勝利。 | [投票(2)] |
★4 | 利休(1988/日) | 映画界の2巨頭の対峙に歌舞伎・映画・アングラ・素人を噛ませるコラボの絶妙。溝口的伝統を現在感覚で継承する小道具・衣裳の圧倒的真実味。だが、列挙される葛藤を常に正面から捉え続ける作劇に若干の抑揚があればとも思う。山崎の秀吉は真に絶品。 | [投票(2)] |