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けにろんさんのコメント: 点数順

★4氷壁の女(1982/米)それまでの日常下で心の底に潜んでた屈託が旅に出て露出するというリーン的モチーフを老匠らしい婉曲で描いてロマンと品性がある。ただスペクタクルな醍醐味があるかというと疑問でロケ効果を生かし切る描法は終ぞ覗えない。寧ろ無声映画のように古典的。[投票]
★4見えない恐怖(1971/英)惨劇の全容が小出しに明らかになる寝起きの屋敷内徘徊。ローアングルと移動使いにポリシーが感じられないフライシャーのB級魂全開なのだが寧ろ屋外に展開してからのサディスティックなミアいたぶりに本質を感じる。嗜被虐の臨界線上を歩いてるのだ。[投票]
★4コンフェッション 友の告白(2014/韓国)韓国映画にありがちな浪花節的少年時代からの腐れ縁ものだが、一筋縄でいかないグレーな感情を錯綜させ相当に深遠である。加えて聴覚障害の妻や闇金ヤクザや保険内部調査員や汚職刑事とかの傍系キャラが豊富で肉付けも細緻なのが世界を延伸させて拡充させる。[投票]
★4くるみ割り人形と秘密の王国(2018/米)これ見よがし感がないのはハルストレムがジャンル専従者ではないからだろう。亡き母への思慕ではなく系譜を引き継ぐということが貫徹されシンプルで衒いなく強度もある。主演フォイちゃんも良。マトリョーシカお化けやブリキの兵隊群は魅力的な造形。[投票]
★4ナインイレヴン 運命を分けた日(2017/米)出し殻的題材に今更の役者陣だが、殊更に題材に乗っかって扇情的にならず寧ろスタティックな演出でド真ん中から夫婦愛を謳われて射られる。となればシーンガーションのキャスティングも反転して吉と出た。降って湧いた消防士リスペクトも誠実の証。[投票]
★4ソフィーの選択(1982/米)展望立たぬ2人の『突然炎のごとく』ごっこを延々見せる前半が冗長なのだが、それはリセット不能の業苦体験がもたらしたと明かされる後半のアウシュビッツの壮絶。価値観が転倒する力技だが、それでも現在形の心奥の地獄も垣間見せねば為にする感が拭えない。[投票]
★4ロイ・ビーン(1972/米)酒場の大殺戮から始まり街を破壊し尽くし粉塵に帰すで終わるフォークロア。序盤のトニ・パキの浄化や終盤のジャッキーの清廉とエヴァの大見得と役者陣も伝説味を帯同しメフィストキーチが中盤のダレ場を救う。幸運な磁場が映画を支配してる。[投票]
★4つかのまの愛人(2017/仏)簡潔な省略が明晰なモノクロと相俟るカリエールベルタの欧州2巨頭のサポートもあり演出は自然体で軽やかを貫く。そこではニンフォマニアックな毒も中和されて後景に退くかのよう。孤独に泣いた娘は笑顔を取り戻し親爺の寄る辺ない詠嘆を掻き消す。[投票]
★4幌馬車(1950/米)如何にもな単線構造の小品で滋味を醸す脇エピソードの1つも欲しいとこだが、一方でフォードエキスの陳列会の趣があり捨て難い。何よりベン・ジョンソンの主役としての据わりの良さもあってエキスとの親和性は抜群。熟知した男が醸す色気が堪らない。[投票]
★4Bao(2018/米)子ども可愛いやはやがて反抗と断裂に至るという全く在り来たりの肉饅頭に託した掌話なのだが終局が鮮やか。唐変木めいた親爺はちゃんと鎹となって妻と息子の不和を見守っていた。時間こそが全てを融和させて解決する。そして新たな饅頭の作り手が加わるのだ。[投票]
★4ワンダー 君は太陽(2017/米)理想郷を描いてるが搦手からの多層な人間描写が恒星オギーの惑星群として主体的に星系を形成してるのが通り一遍でない。その主体性ゆえに観客は世界に肩入れし理想郷は完成される。姉・クラスメイト・教師などベストキャスティングで親2人は居るだけでいい。[投票]
★4天命の城(2017/韓国)敗戦記として揺らがぬ強度もあるが世界が見えない愚臣どもの妄言は現在を顧みるに能う。対して手仕舞いの方途は違えど判ってる2人の身の処し方の清冽。渡河案内人の顛末や清国通詞の怨嗟などエピソードとキャラが豊饒で奥深い。ただ近衛師団の挿話が尺不足。[投票]
★4シェイプ・オブ・ウォーター(2017/米)唖者の彼女の慎ましく夢ない日常に差し込まれた異物としてのそれのマッチョ肢体のリアリズムが被虐下での恋愛映画の強度不足を補う。マイノリティが肩寄せ合い生きる60年代の時代設定も俄かに納得性を帯び、同時に加虐者の孤絶をも浮かび上がらせるだろう。[投票]
★4RAW〜少女のめざめ〜(2016/仏=ベルギー)陰毛引っ剥がしの痛みと立ちション駄々洩れの不快といった前半を牽引する女の生理がカニバリズムと同期し学園空間を制圧し世界に拡張しそうな勢いなのだが、新喜劇ばりにお茶目な終局に卓袱台返される。にしてもこの排他・女権主義の孤高さには若干惹かれる。[投票]
★4嘘を愛する女(2018/日)なんだかダルい中盤の捜索行を辛うじてまさみ鋼太郎の適度の連帯と 反目が牽引するのだが、終盤の帰結を見れば意味を為したのだと納得する。意外性の無い無難さはサイコパス全盛の作劇へのアンチテーゼだ。そして、炸裂する予想外の耳フェチズム。[投票]
★4ルージュの手紙(2016/仏)価値観反目の融解というテーマは今更だが助産師への限りない敬意とドヌーヴの巨躯の存在感が相俟って出涸らし感は相殺される。フロの疲弊も好ましい。佇む湖畔の視点がパンアップする衝撃はラストとシンクロ。稀に見るハードボイルドヒロインの降臨。[投票]
★4エルネスト(2017/日=キューバ)日系人のアイデンティティや革命家との歴史上のシンクロに意味は無いとばかりに只管に真面目に生き真摯に人を思い遣り挙句犬死にした若い命に寄せる共感。さすれば冒頭のゲバラ訪日は幾千万もの同魂に捧げる思いとなり映画を静謐に敷衍する。何の阿りもない。[投票]
★4伊藤くん A to E(2018/日)アラサー女の再生譚として身に纏った虚栄を脱ぎ捨てよという普遍メッセージが心に響くがカウンターパート伊藤くんの一筋縄でないキャラ付けはニヤけたイタい男→ヘタレ野郎→メフィストフェレスと変幻。2人の対峙の長回しの果ての岡田の異相の魔は戦慄。[投票]
★4チキン(1965/仏)ありがち掌編だが少年可愛いやのベタ視線でなく一見したとこ好人物には見えぬ両親役2人が生温さを冷ます。少年、大丈夫かって思わせるあたりで予定調和を逸脱。でも2人は息子が可愛いくってしゃあないんですなあ。エッジの効いたクロケのモノクロが粋。[投票]
★4ジュリーと恋と靴工場(2016/仏)映画の尺もあり岐路に立った彼女の決断は明快で早い。突っ慳貪だがエッチ障壁が低いのもおフランス。儘ならぬ就活で疲弊しパートから正社員へ渇望が十全に描かれてるのでラストが効く。一見緩〜いミュージカルに見えるがおばさんたちのダンススキルは堅牢だ。[投票]