★5 | チャーリーズ・エンジェル フルスロットル(2003/米) | コンセプトを貫くというのは言うほど簡単ではなく、ここまで徹底するのは並大抵ではないと思う。おきゃんな年頃というには些かトウの立ったディアスを筆頭に必死の思いの3人の馬鹿騒ぎにプロ魂を垣間見た。テンションこそが欠落を補い全てを制覇する。 | [投票(24)] |
★5 | マルホランド・ドライブ(2001/米=仏) | 本家帰りとも言うべき意匠満載のリンチワールドは、しかし予想外に時間と彼岸の境界を明晰に構築する。そして何より情念とでも言うべきベタな愛の世界に突入したのが作家としての後退ではなく成熟と感じた。文句無しの傑作である。 | [投票(23)] |
★5 | ジョゼと虎と魚たち(2003/日) | ただ押されて過ぎ行く日々の中に稀に現れる煌く瞬間。過剰な時代に恋もSEXも檻の中の虎もラブホの魚の幻灯絵も漬物も味噌汁も焼鮭も看過すれば何でもない。しかし、それが如何に素晴らしいものであったかをジョゼは我々に喚起させる。映像の艶は特筆。 | [投票(19)] |
★5 | チョコレート(2001/米) | 愛無き3代の父と息子の葛藤も母の肥満ガキへの憎愛も痛い。楽しい事など何も無い人生で偶然に手にした小さな幸福だからこそ身に染み入る。SEXが愛の根拠たる事をてらいなく描き清清しく、2転3転する女心を終局の10数分で描いた演出と演者は出色。 | [投票(18)] |
★3 | インセプション(2010/米) | 不可能作戦を遂行するプロ集団のリーダーが個人的事情に拘泥してウジウジして展開が間延びし、どっちつかずで尺だけ長い。夢だから何でも有りとは言え4段階の夢中夢の舞台設定に伏線のかけらもない。あるのは絵づらの趣向のみでアホらしい。 | [投票(17)] |
★3 | マトリックス リローデッド(2003/米) | 脳味噌にプラグ差し込みデータを送り込めばスーパーマンの出来上がりというのは設定だから我慢しても拮抗すべき現実世界が馬鹿踊りと青い純愛で表象されるしかないのならどうしようもない。100人のスミスに至ってはシャレとマジの境界さえマトリックス。 | [投票(16)] |
★5 | トゥモロー・ワールド(2006/米) | 多くの長回しが何かを見せんが為に周到に構築されている点にまず唸ったが、そんなことをもブッ飛ばす後半の怒濤の展開。キュアロンはSFという衣を脱ぎ捨て現在世界の混沌と対峙する。そして、訪れる確信的な希望にこそ涙せねばならない。今だからこそ。 | [投票(15)] |
★5 | ピアニスト(2001/仏=オーストリア) | 有体に言えば閉塞状況で育まれた変態性が肥大化した世間知らずの女の生き様と言う事なんだろうが、この真正面から恥ずかしげも無く突き進むキャラクターは殆ど前代未聞で新鮮。憐憫も共感も無い冷徹な視線が良い。能面女優ユベールが一世一代のはまり役。 | [投票(15)] |
★3 | ダークナイト(2008/米) | 4人の主軸が織りなす「正義」貫徹の為の「暴力」介在への葛藤には、映画はあやふやな回答しか呈示し得ていない。究極悪ジョーカーに対しバットマンも検事も警部も軸がぶれすぎなのだ。部分的には冴えた演出も長尺を綴じる力には欠ける。 | [投票(13)] |
★5 | エターナル・サンシャイン(2004/米) | 失われたものに対する記憶は切ない追憶としてなら永遠に煌めき続けるとしても、それを引き戻すにはリアルな現実に直面しないといけない。カウフマンの脳天気なだけじゃない現実認識と圧倒的構成力。演出と撮影も精緻を極める。 | [投票(13)] |
★4 | キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(2002/米) | 60年代風軽快コメディテイストを装いつつ家族離散の苦悩をマジで描くという、どっちつかずのコンセプトをタイトルからしてのゴージャスさと陰影深いカミンスキー撮影で縁取り纏め上げたスピルバーグの力業とも言うべきカルト作。 | [投票(13)] |
★5 | スリー・ビルボード(2017/米=英) | 全篇を遍く覆う不穏な空気をキャスティングの妙が完璧にミスリードするのだが、その果てから予想外の信義則が表出する。利己主義に蹂躙された世界が向かうべき理想郷。マクドナーが心を篭めて書いた3通の書簡こそ真髄だし託されたハレルソンも絶妙。 | [投票(12)] |
★3 | ラ・ラ・ランド(2016/米) | 冒頭のユニクロ乃至コカコーラCMチックな群舞のマニュアル臭は未だしも展望台でのナンバーの申し訳なタップは新春隠し芸大会めく。総じて圧倒的タレントの欠如が致命的で俺が見たいのは圧倒的な何かなのだ。ラストの視線の交錯はさすがに胸打つが遅かった。 | [投票(12)] |
★5 | アレックス(2002/仏) | 地獄絵図から遡行する閉じた時間軸がいつぞや折り返し、恒久の平安に至って開放される手法にアイデアではなく必然を感じた。圧倒的な筆力で語られる「劇」なる愛と怒りは表裏の関係であることを自問自答させられ続ける怒涛の2時間。 | [投票(12)] |
★2 | リトル・ダンサー(2000/英) | このガキはバレエの何に心を捉えられ、この親爺は息子の学芸会ダンスのどこに才能を見出したってのか?この映画には設定だけがあって、それを真実に見せる術が全く無い。ストの描写もペラいし面接は永ちゃんの『お受験』の方がなんぼかマシ。 | [投票(12)] |
★3 | スパイダーマン(2002/米) | 遙か彼方より筋斗雲に乗った孫悟空よろしく飛来するゴブリンのスーパーナンセンスな素晴らしさには参ったが、そのゴブリンが私的な復讐に終始する物語世界の卑小さが致命的。スパイダーマンがビルの谷間を飛ぶ飛翔感に重力が感じられないのも惜しい。 | [投票(12)] |
★5 | サーカス(1928/米) | チャップリンの作品でこんなラスト他に見たことが無い。厳しさと孤独感が彼の作品中抜きんでて純度が高い。しかも一方で、地上10数メートルの綱上で猿に顔面を覆われて平然と命綱を外す芸への矜持がある。 | [投票(12)] |
★4 | マディソン郡の橋(1995/米) | ほこりっぽい軒先に中年太りのストリーブが出てきた瞬間にやられたと思った。対して男イーストウッドは余裕のワンパターン演技で返す。全く違うアプローチの2人の役者の激突がエキサイティングとしか言えない素晴らしさ。 | [投票(12)] |
★4 | カメラを止めるな!(2017/日) | 迎合的な劇伴と映画賛歌は若干鼻白むところだが、パラノイアな女房・娘との家庭の為に自分を殺して世間に頭を下げる男は不如意な経緯からカメラの前に立った瞬間スイッチが入る。虚構に仮託してクソな奴らをばっさり斬って棄て現場は好循環。これこそ理想郷。 | [投票(11)] |
★5 | チェンジリング(2008/米) | 実事件の再現物ジャンルの最高峰に屹立する厚み。衣装・美術・装置・メイク・CGの渾然一体となった達成度。その土壌の上で吠えまくるイーストウッドは愚直に全てを描ききろうとする。幸福な融合であろう。そして怒れる親爺は今だからこそ頼もしい。 | [投票(11)] |