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けにろんさんのコメント: 投票数順

★4リチャード・ジュエル(2019/米)反撃だ!と気合入れたって怒涛の展開なぞ起こらない。現実とはそんなもんさという枯れた達観が映画からアクを拭い去る。悪意や偏見という撃つべき対象への剥き出しの憎悪も影を潜める。その最早境地としか言いようがない掌の上で役者たちは十全に自走してる。[投票(5)]
★4スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け(2019/米)突出した見せ場に欠ける括る為の最終話だが、レイとレンの反目しながら同類相惹き合う嬉し恥ずかし要素が昇華形として顕現するライトセーバー転送の件は佳境。途絶えた血族の名前は外部の継承者によって伝承される。これはこれで夜明けに値する納得の結末だ。[投票(5)]
★4アルキメデスの大戦(2019/日)天才を翻意説得するなど五十六のヤンキー脳では無理やろが罷り通る映画帝国の愛すべき虚構。単線構造のプロジェクトXを牽引する菅田の振り切れの横で徐々に感化される柄本も好佇まい。大団円後、世界観を転倒させる悪魔の囁きも気が利いてる。[投票(5)]
★5さよならくちびる(2019/日)女2人に対する男のポジショニングとしての場の空気を醸成することに成功している。成田の退いた佇まいが好ましいし門脇の諦観と小松の焦燥も物語内で沈殿して融解する。フィルムの質感と忘れ去られた風景と昭和な楽曲が混然として世界を形作る。[投票(5)]
★4キングダム(2019/日)若き君主を立て覇権を奪回する旅路に参画する奴隷・蛮族・軍人の各々の思惑が統合される過程に必要な大風呂敷の納得性が映画枠の無理筋を押し切る。アクションの切れ、劇画的詠嘆ともに過不足なく、快演まさみと怪演大沢筆頭に良い面構えが揃ってる。[投票(5)]
★4マスカレード・ホテル(2018/日)仕事に対して明確なポリシーを持つ者同士のガチ確執という一線を崩さない作劇は男と女のよろめき展開を許さない。それがまさみの圧倒的な脚線露出を間近にしてさえもってのが映画的レトリック。定番グランドホテル形式の食傷はセット美術の贅が相殺する。[投票(5)]
★4心と体と(2017/ハンガリー)夢診断的な形而上世界が遠のき中学生レベルの何の捻りもないド直球妄想話が現れるのだが、滋味ある鹿の無垢な眼差しが邪念を吹き払う。傍系人物群のダメっぷりも愛すべきだが、彼女のマグロなのに充ち足りた表情がスローピストンと同期し幸福感を現出させる。[投票(5)]
★3ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書(2018/米)男は何故に面会に応じそれを渡すのか。お嬢社主は如何な葛藤を経て掲載に踏み切るのか。映画は最も描き込むべきを描かず2人の間合い芸に依存するばかり。それはそれで見応えは否定せぬが本質は忌避された。資料並べ替えや電話片っ端コールの手垢がうんざり。[投票(5)]
★5南瓜とマヨネーズ(2017/日)売れないバンドマンと風俗で働き男を支える女みたいな一昔前の刹那感は皆無で状況に流され何となく日々は過ぎてゆく。ダメな男と女の顛末にダメな俺たちは共振するのだが甘さもない。これは正しく平成末期の成瀬イズムの継承。決めショットの痺れる快感。[投票(5)]
★3ブレードランナー 2049(2017/米=英=カナダ)開巻からの未来造形の美術・撮影の完璧さは対立軸を喪失した物語によって褪せていく。いっそ何もないならまだマシだが既視感のある陳腐へと流れて情緒も過多。メシア待望の反旗は主人公の自分探しと噛み合わず形骸化する。フォード起用もオーラ無さすぎ。[投票(5)]
★4下町の太陽(1963/日)山田らしからぬ硬質なロジックが世界を統御する松竹NVへの忸怩たる思い。階級差と人間性のよくある天秤話だが、徹底的に印象付けられる中空を見つめ黙考する倍賞の表情。岐路に立たされる我々の選択は大概に場当たりだ。そのことを思い知らされる。[投票(5)]
★3関ヶ原(2017/日)駆け足のトピック連鎖はコンセプトとして有りだと思うが、肝となる心根にはある程度の感情の納得性を付与せねば持たない。島左近・大谷刑部・小早川秀秋に関してのそれが決定的不足。その分架純に尺を使うのは精進料理にお砂糖。そして定型的滅びが来る。[投票(5)]
★5パッセンジャー(2016/米)人非人行為で得た誰憚らぬヤリマン天国から急転直下の凋落。以下この映画の感情の流れは男も女も徹底的に納得できるロジックに基づいておりシンプル且つ強固。スッピン系おぼこ顔とイケイケメイク系を往還するジェニファーも満喫。セット美術も秀逸だ。[投票(5)]
★5君の名は。(2016/日)転校生』と『時かけ』リミックスとして上出来の前半なのだが、後半の大風呂敷を広げて畳みかけた上に尚畳む疾走感とそれを補完するカット繋ぎのダイナミズム。そして一転抒情的なエピローグの慎ましさ。昭和古典の名を冠し気後れせぬ台詞と音楽のベタ強度。[投票(5)]
★3イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密(2014/英=米)エニグマ解読の軌跡は幾何学図形やレトロCPの形象の珍奇さで誤魔化され結局決め手はそんなことかいという落胆。文系男子が理系題材を調理したってこの程度かと思う。終盤、大局的非情と性嗜好の露見が錯綜するが連関も無いので感慨もわかない。全てが底浅。[投票(5)]
★4百円の恋(2014/日)ジムの経営者やトレーナー、コンビニの2人の店長や店員といった脇キャスティングが全て命中しており、遣る瀬無い閉塞と片隅感が充満するのが良く、そういうリアリズム基盤の上で『ロッキー』チックな類型的再生譚もより栄える。サクラの熱演も報われた。[投票(5)]
★4インターステラー(2014/米)尺を費やした親子の絆を水の惑星のエピソードでものの見事に断ち切る意外性は後段の未だ見ぬ地平への期待を弥増させるのだが、周回しての落し所はそこかという万人の安心ラインが失望だ。絵面は多少『オブリビオン』との近似を感じるが壮大な荒涼感が良い。[投票(5)]
★4華麗なるギャツビー(2013/米)逐一絵面で説明したがるラーマンに語らずに語るの極意なぞ言っても無駄なのであって、原作文を得意げに画面に貼る恥知らずにはキッチュの本質をさえ窺わせる。ともかく画面を虚構で充実させる努力は大したもので、それが主人公の本質に絶妙にリンクする。[投票(5)]
★3藁の楯(2013/日)中盤以降も再三に屑野郎を命を賭して守ることの是非が問われるが今更感が拭えず、映画はもっと異なる命題を俎上に載せて欲しかった。新幹線の疾走感も相俟りアップ多用で護送チーム内の確執が火花を散らす前半は魅せる。松嶋永山に新味があった。[投票(5)]
★3希望の国(2012/日=英=香港)無人の街で2人きりで末期を迎える老夫婦に切ないまでに心は共振をしつつも、「希望」の欠片も存在しない展開に萎える。柔な作劇が通じない状況への戸惑いは理解するが、嘘でも「希望」を謳うべきだろう。若しくは全開の悪意をこそだ。らしくない半端さだ。[投票(5)]