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けにろんさんのコメント: 投票数順

★4ザ・コール [緊急通報指令室](2013/米)設定が課す制約を殊更巧みに利したとも思えぬし、サイコパスな犯人も若干弱い。まあ、ジャンルとして中の上くらいの出来なのだが、終盤で加点した。防戦一方の試合を延々見せられた末のカウンターアタック。但し突き詰めすぎたらタラ芸になるだけだが。[投票]
★2エレニの帰郷(2008/伊=独=露=ギリシャ)ロマンティシズムに傾倒しデヴィッド・リーンでもやりたかったのかと疑うのだが、にしてはガンツピッコリの老体が主軸では地味でエネルギー不足。又かの入子細工を担うデフォーも徒に悲愴ぶってるだけ。全てが裏目に出てすべりまくりだ。[投票]
★4ジャッジ!(2013/日)見てくれは相当エッジが効いてる割に言ってることはマトモ過ぎ、一種の回顧趣味だとしても気恥ずかしい。何と言っても景子京香に分断されたヒロイン設定が致命的で煮えきらず、ツンデレのデレも不足だ。ただガイタレ役者連をはじめ皆いい仕事ぶり。[投票]
★4シテール島への船出(1983/ギリシャ)持って回った感が無くもない寄る辺なき放浪の途に就いた先人への挽歌。しかし、その持って回った感が須らく味わい深くて堪らない。序盤の『81/2』や『軽蔑』的メタ映画への傾斜と、終盤の正調アンゲロ節とも言えるカフェの混沌と対置される海上の孤高。[投票]
★3少女は自転車にのって(2012/サウジアラビア=独)必死でチャリこぐ少女の見るからに喜びを体現する様は確かに微笑ましいのだが、彼女は都度言及される女性を虐げるサウジの因習に対しプロテストしてるわけでなく、個人的な価値観に準拠してるに過ぎないところがドラマトゥルギーとして弱い。目新しくもない。[投票]
★4奪命金(2011/香港=中国)小粋な3題話を語るにメルヘン世界から降り地に足つく俗世に塗れる覚悟を垣間見せたジョニー・トーに好感を持つ。特に投信販売員デニス・ホーの挿話が切実で、他の刑事・ヤクザの絡み話のルーチン陥穽に楔効果をもたらす。必死に生きる人々への賛歌。[投票]
★4麦子さんと(2013/日)構成は脚本段階で省略が効き、安易に大林的ジュブナイルな陥穽に落ちないのも好感を持った。低温兄妹も心根の奥では親への思慕は持ち合わせていることを自認する。ベタだが随所でそこそこ辛辣で納得性がある。『タマ子』もこれ位素直ならと思いつつ観た。[投票]
★4ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日(2012/米)猛獣と共棲するリアリズムが細緻であるから浮世離れた海洋描写が白々しくならない。デジタルに於けるCG使いの究極形とも言える解像度と完成度であり、過剰であることの楽しさに満ちている(飛魚・海豚・海月・ミーアキャット)し、寓意的示唆も感じられる。[投票]
★3かぐや姫の物語(2013/日)ずっと『ハイジ』がチラつく。都はフランクフルトで相模はロッテンマイヤーだ。不毛な月世界対比の現世のエコ賛歌は『狸合戦』。成程高畑の集大成かもだが、ならば少女のリリシズムをこそ全面開花させて欲しかった。キャラが背景に埋没する手法も買えぬ。[投票]
★4寒椿(1992/日)大映の伝統を汲む美術の内藤昭が今回効いた。陽暉楼のセット美術など大したもので、愚直なだけの降旗と大味な体育会系木村ペアも気合乗りが覗える。南野の乳出しもコマーシャルな意味付けに留まらず流転の悲哀を演出するのだ。想外の良作。[投票]
★3天国の門(1981/米)ハーバードの円舞やワイオミング宿場町の過剰な人馬など序盤60分は演出の狂気とジグモンドの採光に彩られ確かに凄い。しかし、東欧移民の『バイオリン弾き』的既視感に懸念を覚えたそばから回収を放棄された物語は崩壊する。終盤は失望と徒労しかない。[投票]
★3五人の賞金稼ぎ(1969/日)七人の侍』ごっこのカス映画と切って棄ててもいいのだが、若山の品性無きヒューマニズムや大木のイジケた居住まいや真山の謙虚なエロスが中心に据わり何とか最低線をキープした。しかし、この惨状で大見得を切るラストには唖然とするしかない。[投票]
★3十兵衛暗殺剣(1964/日)十兵衛は序盤けっこうリアルに弱腰だし、実践経験無き剣が道場剣法と謗られるのも正論。そういう生煮え展開故に終盤の逆転にカタルシスは無い。闇夜の大友の8人斬りの非情。湖賊女頭目の懊悩とエロティシズム。見どころはあるがブツ切りに散在するだけ。[投票]
★3ルームメイト(2013/日)生活臭ゼロの浮世ばなれ感が80年代角川映画を彷彿とさせ悪くなく、さすれば、これは当代のミューズを擁した正調アイドル映画に見えてくる。言うたら緩くて二番煎じ的なのだが、それでも終局の病院シーンではスッピン顔の凛々しさが、神話性を付与している。[投票]
★4パッション(2012/仏=独)嫉妬と懐疑の錯綜するタペストリーを心ゆくまでねっとり巧緻に織り成したいというデ・パルマイズム純粋系譜上の佳作。ただ、技巧的には随分淡白になった。来たーっと思ったら、あっさり切ってしまう長回しが切ない。サディズムがその分露骨になったね。[投票]
★1ディザスター・ムービー!おバカは地球を救う(2008/米)バカやってるふりしてとことん舐めている。くだらなくてあいすいませんという謙虚があれば浮かぶ瀬もあろうにと思うが、あくまで内向きな目線しか感じない。元ネタへの愛も感じられず表層に終始するギャグばかりだが、『ウォンテッド』ネタだけは一寸笑った。[投票]
★3ソルジャー(1998/米)けっこう性欲に悶々とするあたり、「ソルジャー」として未熟なのではと思ったりするが、作り手はそこは適当に流してる。明らかに『T2』以降の寄せ集めの傍流作であり、多くの類似品と差異は無いが、カート・ラッセルの華の無い無骨が全篇を支えている。[投票]
★4テイカーズ(2010/米)正直少々イラつく編集なのだが、錯綜する展開を規定に沿って収束させずに混迷に委ねたかのような帰結に新味を覚えた。非情と裏切りとモラリズムが混在し鯔背であることが必然である世界を等身大で描き得ている。新旧の役者が等分に消費される配役もクールだ。[投票]
★4ジャッジ・ドレッド(2012/英=米=インド)スローモーなるドラッグの幻視効果を執拗に描いて、そのハイスピード撮影が人体破壊に敷衍するあたり、この際どい専制題材を描くに毒をもって制する感がある。設定の空間限定の閉塞は容赦の無さによって破砕され、男女ペアの仄甘さがその救い難さを緩和する。[投票]
★3臨場 劇場版(2012/日)内野のモッサリ喋りが、それなりの味わいではあるが、構造が複線的でズレ感が拭えない。平田の諦念に隠された怨念や若村の遣り切れなさに足掻く悔悟は爺いの末期の正義感より傍扱いかと思ってしまう。商店街のシャッター前で咽び泣く想いの詠嘆。[投票]