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けにろんさんのコメント: 投票数順

★5驟雨(1956/日)断片の集積で小さな世界の混濁と無常を余すことなく描いた脚本が素晴らしいのだが、それでも東宝的微温庶民掌話になりかねぬところを成瀬のニヒリズムが全篇呪縛のように覆い痛烈。結果小粋なラストも輝く。カメラも良く同年の『流れる』とピークを形成。[投票(3)]
★3チャッピー(2015/米=メキシコ=南アフリカ)ロボコップ』な背景の『AI』再語りの手垢感もあるが、本来3項対立の傍系人物でしかない2人が予想外の父母性を発露し始めて均衡が崩壊する。と言うより作り手の心情もそこへ片寄せしてる。創造主を序盤で退席させても良かった。強度は数倍増したろう。[投票(3)]
★5マジック・イン・ムーンライト(2014/米=英)最早新しいことは何一つ無いのだがアレンシニカルサイドを抽出したかのようなファースが目玉お化けエマの眼力の下の純情に融解される。そのキャラ強度こそ肝。天文台の雨宿りはラブコメ常套でも品位と節度が好ましい。年増女優陣のセレクトも良。[投票(3)]
★4バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014/米)娘や共演者や元妻や批評家など多くの他者とのベルイマン的確執が精巧な長回しに強いられたハイテンションアクトで叩き付けられる快感は大気圏で燃え尽きる物体の終末感と相乗され来るべきカタストロフへと弥増すのだが結局終盤は理に落ち世界は収縮した。[投票(3)]
★4フォックスキャッチャー(2014/米)精緻な心理劇であり全篇にわたり不穏な緊張を持続させる演出は文句なく素晴らしいのだが、言うたらデュポン一本かぶりの展開で余りに単線構造で視野が狭い。孤独なマザコン大富豪の自己崩壊を描くにそっちサイドの重厚な世界の抑圧が描写不足なのだと思う。[投票(3)]
★46才のボクが、大人になるまで。(2014/米)6歳の頃に永遠に拡がってた未来は僅か10数年で視界90度位に狭まってしまうという現実と真実を年月を費やし詳らかにした労作だが、だからどやねんとも思える。アークェットの疲弊の年輪を重ねゆく容貌とホークの能天気に変わらぬそれが対照的。[投票(3)]
★3アメリカン・スナイパー(2014/米)イーストウッド版『グリーンベレー』とまでは言わぬが矢張り9・11を起点とした報復論理で捉えた戦争は自国民の犠牲という帰結への詠嘆では事足りぬ。砦からの脱出ばりのクライマックスも陳腐。イラク側スナイパーの更なるフィーチャーこそ要件だった。[投票(3)]
★3薄氷の殺人(2014/中国=香港)内実が希求した表現ではなく全てに狙ってる感がそこはかとなく漂う。白昼の花火も観覧車も砕炭工場やスケート場も絵面としては蠱惑的だがズシンと来ない。ミステリーとして成立させる気は端から無なさそな凡展開で、ドン詰まりな男と女の物語としても及び腰。[投票(3)]
★4レッド・ファミリー(2013/韓国)南の物質文化に感化されるパターンの米国的価値基準に転びそうになりつつ寸でのとこで躱す繰り返しなのだが、やがて、腐れ嫁基準で回る南のダメファミリーさえ一生見果てぬ羨望であることの北の現実を思い知る。温い見てくれの皮下に流れる鮮血が時たま滴る。[投票(3)]
★4紙の月(2014/日)境界を踏み越えてしまう女心が十全に描かれぬのは良しとしても、どうにもりえの疲弊が出すぎて痛々しい。だから単なるバカ女に見えてしまう。一方、相変わらず演出はキザで随所で小粋な画をみせるのは一応買うが、紙幣の数え方がド素人なのは致命的瑕疵。[投票(3)]
★4イコライザー(2014/米)全ての男どもが思い描く夢の最大公約数を具現化するに全く躊躇せず工芸品を愛しむように丹念に磨き上げられた世界。この微妙な過剰さの匙加減がフークワの特質だろう。終盤のそこまでいっちゃう的展開も違和感ない。役者陣も又か感を感じさせない顔ぶれ。[投票(3)]
★3LUCY ルーシー(2014/仏)エイゼンシュテインも墓場で真っ青な冒頭のチーターモンタージュを気力で乗り越えると後はどうなっても平気だった。寧ろ無心でスカヨハのおっぱい調度いいでかさだなとかに念を注力した。ただ、ミンスクがどうにもコケにされた感があって残念だ。[投票(3)]
★3X-MEN:フューチャー&パスト(2014/米)雁首だけはやたら揃えてみたが結局『Fジェネレーション』組一本かぶりな設定で、旧シリーズ組が不憫である。3角関係の確執も突っ込まれる訳もなくジェニファーの苦悩は何一つ響かない…て言うかそもそも安産型の彼女はミスティークの柄じゃないんだな。[投票(3)]
★3オズの魔法使(1939/米)芸達者だがトラウマを抱えたおっさん3人衆が少女を庇護しつつの珍道中もので、彼らはその過程で悩みから解放されるが、ドロシーは何かを得るわけではない。その無私性は愛すべきだが啓蒙的な強圧感も若干臭う。オズの国の造形は年月に耐えたか?微妙である。[投票(3)]
★5家族の灯り(2012/仏)真面目なドライヤーブレッソンを装いつつ舌を出すオリヴェイラ。凪の水面の湖底では悪意と洒落っ気が絶妙に混在する。老妻の偏狭を撃ち、善人ぶった老父の妄執を叩きのめす呵責の無さは怖いもの知らず。銅版画のようなベルタの撮影も絶品。[投票(3)]
★4それでも夜は明ける(2013/米)殊更にスキャンダラスなわけでもない。虐げる側の者たちを概ね葛藤して心を病む者として描いた点が新しくもあり性善説に立ち過ぎる気もする。その胡散臭さを対象を見つめる演出の腰の据わりの真摯が随所で拡散させた。奴隷白人と農園主黒人妻の歴史的多面性。[投票(3)]
★5新しき世界(2013/韓国)既視感のある設定とも言えるのだが、豊穣で魅力ある細部の連鎖と組み合わせの妙が否応なくアドレナリンをかきたてる。一筋縄でいかぬキャラもてんこ盛りだが特筆のジョンミンの大友イズムと大陸の物乞い。そして、映画は越境することで既視感を駆逐する。[投票(3)]
★2小さいおうち(2014/日)何十年も秘めた想いを紐解く作りになっていない。戦時下の火遊びが露見せずに済みましたっていう程度の話ではないだろう。3角関係の2辺しか描けない山田には尺に合わない企画。『東京家族』からの余りにものキャスト流用も安易で嘗めてる感を受けた。[投票(3)]
★4アメリカン・ハッスル(2013/米)締り無いダラな本だが、そのダラさまでもが寄与する70年代の空気。ラッセル前2作の面子総出のコラボはハイテンションな演技合戦のお祭り気分が横溢し御代登場でサビをも効かせる。付いては離れて又付く男と女の腐れ縁が或る種の感慨と至福をもたらす。[投票(3)]
★4スノーピアサー(2013/韓国=米=仏=チェコ)ステージクリア的ゲームな段取りも重み無きCG列車もどうかと思うのだが、ポン・ジュノのアクション演出に於ける遠近や高低といった距離感把握に相変わらず痺れる。湾曲路線での銃撃戦が白眉。ラストのエド真っ青な卓袱台返しも投げ遣りでしたたか。[投票(3)]