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けにろんさんのコメント: 投票数順

★4ビューティフル・デイ(2017/英)幼児性愛者を撲殺する稼業の救い無さと病んだ母との生活の救われなさが過去のトラウマも混じえホアキン・フェニックスの贅肉に瘧のように沈殿する。その連鎖を自身で断ち切ることはできないが、暗殺者や拉致少女が頸木を解くだろう。仄かな希望が切ない。[投票(1)]
★4瘋癲老人日記(1962/日)振り切れた2人芝居のSM芸は書斎と隣接する浴室という装置で肢体の可動性を高められ結果コメディにまで延伸する。木村恵吾の演出は実直に谷崎と対峙するのでド変態世界が緩衝されて品があるのだ。固定カメラによる旅館での足型取りの絶望的無常。[投票(1)]
★3ワンダーストラック(2017/米)ジオラマ等メカニカル意匠が気合い入りまくりなのだが哀しいかな筋に絡みきれず機能しない。2つの時代のカットバックが収斂するのも拍子抜けな帰結。だが現在形70年代の切ないまでの景観と途中から同道する少年の予想外の孤独が胸を打つ。それが裏テーマ。[投票(1)]
★4アベンジャーズ インフィニティ・ウォー(2018/米)惜しげもない新陳代謝で古い血が放逐される小気味いい冷徹なマーケティング戦略。アクション演出も地球での初戦のキレは一体この先どうなるの期待を煽る。中盤も集め過ぎなキャラ群を3手に分けてのカットバックが王道の快感。ただ終盤の畳み方がどっちらけ。[投票(1)]
★4ヴァレリアン 千の惑星の救世主(2017/仏)数多登場する星人が子供ぶった大人が創意する胡散臭さでなく天晴なまでの低能感に充ちてる点で優れてベッソン的なのだが、仕事と愛の天秤が嬶天下な世知辛い人生観に従属する点で随分と地に足がついたと思わされる。脱線のリアーナもいい薬味だった。[投票(1)]
★4メイド・イン・ホンコン(1997/香港)150年に及ぶアイデンティティ存立の揺らぎが歓喜でも悲観でもなくモラトリアムな浮遊感覚でしか認識されぬことが、その20年前の日米欧の能天気な終末観に近似することで優れて自覚的に遅れてきた映画足り得ている。その遅れこそが不可逆的な価値を為す。[投票(1)]
★5素敵なダイナマイトスキャンダル(2018/日)爆死心中の母への思いや業界盛衰記としての側面は情に棹ささぬ描写が必要充分のラインを保つが、唯一感情が吐露される或る女への想いは苦渋に塗れる。朽ちた白鳥舟が寂寥の湖畔デートから病院へ至る経緯こそ白眉だ。隠し玉アラーキー菊地も世界を拡張。[投票(1)]
★3競泳選手ジャン・タリス(1931/仏)速さの科学的究明とかキャラのフィーチャーとか政治的な意図とかは皆無であり執拗に飛び込みを逆回転してみたりの動く画へのトキメキが主軸である。そして、それは今更だ。ただ「水」への偏愛は少なからず萌芽を見せ水中撮影の幽玄は少しドキリとさせられる。[投票(1)]
★5The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ(2017/米)35ミリ・ノーライトの質感が南北戦争下の時代の空気を顕すのに絶妙で自然光は白の衣裳の嫋やかと融解する。万全の技術にソフィア・コッポラ帝国お手盛り女優を率いた総決算とも言えるガーリーワールド完成形。最早エロやゴアは語らずとも語れるの境地。[投票(1)]
★4ブラックパンサー(2018/米)書き込まれたキャラと役者の内から滲み出るエレメントが幸福な融合を果たしたという意味でジョーダングリラは傑出してるし、釜山シークェンスのカジノの攻防からカースタントへ至るキレも申し分ない。米政権へのアンチテーゼとは持ち上げすぎだが。[投票(1)]
★4blank13(2017/日)生きる』現代版的構造に陥るところを葬儀シーンへのライブ感傾注により回避し、結果一家の過去時制のみが鈍色に純化されて浮かび上がる。磨り硝子越しの取立屋はじめフラッシュバックされる鮮烈なイメージは演出を左右するリアルの抽斗に裏打ちされている。[投票(1)]
★4熱砂の秘密(1943/米)大戦秘話のような説話チック体裁がワイルダー独壇場だし出入りのサスペンスも冴えわたる。シュトロハイムのカリスマも実在人物の介入を迷彩した。小道具使いも良く、特に日傘は後年の『SHの冒険』のラストに直結する哀惜のロマンティシズムだ。 [投票(1)]
★2パーティで女の子に話しかけるには(2017/米)過去作ではアニメーションに仮託されハードな世界に温もりを与えたJ・C・ミッチェルのイノセンスがだだ漏れでゲップが出そう。エルのヘタレ歌とキッドマンの見てくれだけ感の所為で対置されたパンクシーンが胡散臭い。居た堪れなさが滲み出る。[投票(1)]
★3ノクターナル・アニマルズ(2016/米)今彼に浮気されふった元彼と縒り戻したい願望が破砕されるマスターベーション映画なのに、過去と現在のジャンクションになる小説世界は彼女を上げて落とすべき方向性に沿って展開されない。暴力性への畏怖は丹念だがデブおばさんほどには作り手に覚悟はない。[投票(1)]
★4わたしたち(2015/韓国)絶妙に微妙な2人のキャスティングを誂え作り手は徹底的に突き放すが催涙的な加担はせぬ一方で彼女の寝顔のあどけなさは愛でて止まない。それこそ親が子を見守る視線であるかのように。強固な演出だが世界は限定される。葬儀のあとの海辺が一瞬風穴を開けた。[投票(1)]
★4ローガン・ラッキー(2017/米)図体がでかくリアクション乏しい兄弟のキャスティングがこの2人って時点で成功は確約されたようなもんで絶妙な間が頻発するのだが、それさえもソダーバーグの仕掛けだったってのが食えないっす。カーキチ妹やクレイグ3兄弟など立ったキャラも豊穣。[投票(1)]
★3デ・パルマ(2015/米)下手に分析的な究明を行わず「自作を語る」的なシンプルな構成に徹している。見つけ出した新旧多彩なフィルム断片を遍く適宜挿入するのも誠意を感じる。だが、トリュフォーヒッチに対し行ったようなシーンをショット単位で解析するレベルじゃない。[投票(1)]
★3悪魔のような女(1955/仏)クルーゾーにはショットの連鎖が魔法を呼び込むレベルの才覚はないのでショッカーな決め手が浮く。一方で女2人の同性愛関係の仄めかしが効いて道行めいた往還に情緒的サスペンスが生じた。小学校という特異な環境描写も効果的でプールの使い方は秀逸。[投票(1)]
★3ディストピア パンドラの少女(2016/英=米)大構えな迷彩の効いた開巻だが、それだけに後の常套展開はジャンル映画の限界を露呈させる。活動停止中棒立ちゆらゆらゾンビの脇をソロソロ擦り抜けるシーンの既視感。冬虫夏草な発展系は新しくもインパクト希薄。演出もシュアだがキレとハッタリが足りない。[投票(1)]
★4パリのナジャ(1964/仏)セルビア出身米国籍というコスモポリタンなナジャについて何処ぞに有りがちな孤独や関係性とかのファクターは一切フィーチャーさせずパリという街を満喫させる。パブで知らぬ親爺たちの卓に割り込み話に聞き入るってのはインテリシネフィルの幻想にしても。 [投票(1)]