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★5 | キートンの探偵学入門(1924/米) | 時制と空間を支配しようとする強固な意志とそれを為し得る技と力。勃興期の映画の数万哩先に数十年早く到達した奇跡。見たときは捜し物を見つけた気がした。問答無用なテンポの快感に末梢神経の先まで覚醒させられる。 | 3819695, muffler&silencer[消音装置] | [投票(2)] |
★3 | 風の輝く朝に(1984/香港) | 伝説には熱狂をもって形成される過程と時代の変遷とともに上澄みが剥落していく課程がある。俺は後者に於いて作品に遭遇したわけだ。香港映画の愛しくも悪しき似非主義はロマンティシズムの形成にはベタ以外の何者でもない。 | ナム太郎 | [投票(1)] |
★5 | 麦秋(1951/日) | ルーティーンから半歩外したキャストの仄かな新風も完膚なきまでの手法の絶対世界で牛耳られる快感。編集リズムの極致的快楽のみでも個人的には全き小津ベスト。豊穣な侘び世界は辛らつな寂びの詠嘆に連なる。その諦観は真に美しい。 | おーい粗茶, 3819695 | [投票(2)] |
★2 | アンジェラ(2005/仏) | 人は一旗揚げて万能感に支配されると、こういう妄想を思い描いてしまうのであろうか…。苦節の時代の自分を投影し天与の恩恵に授かり幸福を得る。人生はそんなに甘いもんじゃないってのはベッソン以外の全員が知っている。 | カフカのすあま, t3b, らーふる当番, セント | [投票(4)] |
★3 | アンストッパブル(2010/米) | 優れた音響と細密なモンタージュによる『激突』アプローチで序盤では「怪物」として君臨していた重機関車だが、後半は当たり前の列車に成り下がっていく。実話の枷に縛られるのならTVの再現ドラマで充分。場当たり的展開を再構築する気も無さそう。 | サイモン64, ぽんしゅう, セント, ガリガリ博士 | [投票(4)] |
★3 | プレスリーVSミイラ男(2002/米) | ブルース・キャンベルの枯淡とも言うべき老人演技が味わい深く、エルビスネタのシケた頃合いもナイスなだけに、ヘタレなホラーへの拘りは要らんとも言える。ただ、ヘタレなのも又可愛いとさえ思えてくるから困ったもんだ。 | t3b, わっこ | [投票(2)] |
★5 | ヒーローショー(2010/日) | 些細なリアリズムの積み重ねによるミクロな小競り合い。そのド本気の錯綜だけでも見応えはあるが、混沌と拡散の果てに、そこには留まらない俯瞰的な時代観のようなものが現出してくる。『ガキ帝国』への本家帰り。そして、後藤淳平の想外の役者力。 | DSCH, セント, ぽんしゅう | [投票(3)] |
★3 | 修羅雪姫 怨み恋歌(1974/日) | 内容的に1作目と比して何が違うわけでもないが、鈴木達夫のカメラが素晴らしい美術と相まって寺山的猥雑さを醸し出し、役者のコラボも一線級の面構えを揃えて「男騒ぎ」な華々しき重厚。正直この映画には勿体ない位。 | sawa:38 | [投票(1)] |
★4 | 奇跡(2011/日) | 色々悩みつつも生きていく諦観とも言うべき境地。仄かに暖かい3世代の群像スケッチは稀有な高みを感じさせる。見続けたい停滞を振り切り疾走に移る後半に行き着くクライマックスのケレンの無さ。それも味とは思うが無為を活かす奥のもう1手が欲しかった。 | 3819695, 緑雨 | [投票(2)] |
★3 | マチェーテ(2010/米) | 『キル・ビル』の裏返しで始まった物語は、導入はゴアな描写も冴えて絶好調であるのだが中盤以降は『デスペラード』的に急速に停滞していく。越境ネタを描くにロドリゲスは「こっち側」に居るべきじゃないと感じるのは野暮じゃろか。女優陣は皆良いが。 | DSCH, 緑雨 | [投票(2)] |
★4 | ザ・ホード 死霊の大群(2009/仏) | セット美術の猥雑な殺伐さと撮影の即物的な質感が秀でている。強固な意志が貫徹されるドラマトゥルギーも妥協知らずに我侭で、得てして二の次になりがちな人間ドラマがゾンビと高度に融合し弛緩ゼロなのが驚き。100匹ゾンビは少々やりすぎだが。 | クワドラAS | [投票(1)] |
★5 | 空気人形(2009/日) | バーチャルでないリアルなビニール性欲処理人形という実存はペ・ドゥナの緩んだ太股や汗ばんだおでこに継承され、死滅しゆく閉塞都市を彷徨い血と塵芥にまみれて消えるしかない。ピンビンの温もりの風景に包まれた是枝の冷炎の如き怒りの都市論。 | DSCH, りかちゅ, 死ぬまでシネマ, いくけんほか6 名 | [投票(6)] |
★5 | ノルウェイの森(2010/日) | 内省的な高踏さで繕われたエロ文学としての在り様に忠実であるし、出来不出来はあるが表現に確信的な強度が持続されている。モラトリアムな諦観とモラリスティックな信義則の奇妙な同居。情緒的でない60年代ムードの堅牢。驚愕の水原希子の台詞回し。 | ナム太郎, カフカのすあま, 緑雨, セントほか5 名 | [投票(5)] |
★4 | 月に囚われた男(2009/英) | 一見チャチい月面自走の資源採掘機の廃出する粉塵飛沫が良く見入れば半重力で舞う様の幽玄な詠嘆に魅せられる。『ブレードランナー』から伸延されたテーゼを『サイレント・ランニング』な侘びと『アウトランド』なサスペンスで補填する粋。ただラストは無粋。 | tkcrows, セント | [投票(2)] |
★5 | シリアスマン(2009/米) | ついてない男のスケッチを、得意の一見意味深な無意味ネタで彩ってみせるが、『バーン・アフター』以上の精緻さを獲得した小技の応酬は最早名人芸と言うしかない。緩やかに奈落に向かう顛末は一抹の救いを見せた後一気に終末へ向かう。その乾いた悪意。 | 3819695, セント, ぽんしゅう | [投票(3)] |
★5 | バーン・アフター・リーディング(2008/米=英=仏) | どう転がるか予測不能の奇天烈展開が何をも語らず消え入るかの如き収束を迎えるとき、俺はコーエンの哄笑を確信する。タイプキャストのキャラを精緻の限りを尽くして演じる3人の男達。幸福な映画王国の共闘作業に身を委ねる至福を感じた。 | DSCH, 緑雨, chokobo, k-jamほか7 名 | [投票(7)] |
★4 | 天井桟敷の人々(1945/仏) | 占領下故に仏活動屋の気骨が凝縮された大通俗絵巻のスケールと緩み無さだが、大衆文学的人物配置のなか、役者や無頼詩人のキャラ造形の安定的強度に比し、ギャランスもバチストも今いち生半可で牽引力を持ち得ない。その浪漫主義こそがフランスなのだろうが。 | chokobo, セント | [投票(2)] |
★3 | 地下水道(1957/ポーランド) | 商業的ライティングを度外視しても伝えたいものがあったことは確かなのだろうが、映画的カタルシスは終局にしか存在しない。地下水道の描写は息苦しいまでに凄惨だが…それだけ。自戒史ならせめてもロマンティシズムくらいには浸っても良かろう。 | ジェリー | [投票(1)] |
★5 | 殺人の追憶(2003/韓国) | 野村や熊井や黒沢在りし頃の嘗ての日本映画が持ち得ていた社会派推理劇の豊穣なる文法に乗っとりつつ、得てしてノスタルジーに装飾される多くの未達感や悔恨は現実には今の時代にも綿々と繋がっているという詠嘆。そこが一線を越えてる。 | DSCH, 水那岐, これで最後, ハムほか7 名 | [投票(7)] |
★3 | リミッツ・オブ・コントロール(2009/スペイン=米=日) | 受け身な主人公に世界のシステムを制御するカリスマはなく、狂言回しとすれば回される世界に意味或る至言は存在しない。体裁にジャンルを踏破させたいなら『欲望』を、トリックスターなら『テオレマ』をだ。この物語にはそのケレンが欲しかった。淡泊で退屈。 | DSCH, ペペロンチーノ | [投票(2)] |