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[コメント] 宇宙戦争(2005/米)

テロだと思って観に行ったのですが、実際は原題通りの「(世界)戦争」。上空からの無差別攻撃におびえて、逃げ惑い、舐めるような探索の目に耐えながら地下で震えているのは、あれは、裏を返せば現在のイラクの一般市民そのままの姿だ。
uyo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







あの醜いエイリアンは、アメリカ軍だ。今まさに戦時下の米国内で、「娯楽映画」の体裁を借りて、強い皮肉と警告を込めて作った監督の勇気が見える。

加害者と被害者が錯綜する。いつの間にか入れ替わる。どちらがどうなのかわからなくなる。それが「戦争」。

復讐に駆られて、戦場に走ろうとするボビー。何人ものアメリカの若者が、同じように行動したのに違いない。それを腕ずくでも止めようとしている主人公の姿が、監督の信念なのだろうか。

エイリアンと戦おうとするティム・ロビンスを、娘の(ほぼ)目の前で手にかける。この皮肉なジレンマ。「反戦」と言う単純な言葉では表せない深い諦念がある。主人公の行動は明らかに間違っている。しかしすべての「悪」は、「正義」から生まれるのだと知る。

最後に、「無駄な命はない」と言う言葉で締めくくられるこの作品は、リアルな戦争を、象徴的なおとぎ話の体裁で表現しようとした『プライベート・ライアン』とは真逆に、SF映画と言うおとぎ話の体裁を借りて、リアルな戦争を描こうと挑戦している。

遅ればせながら気付いたのですが、娘の手のひらに刺さったとげ、「そのうち自然に押し出すわ」と言うのは、エイリアンが撃退された原因の、ちょっとした伏線だったのですね。

(評価:★4)

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