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[コメント] ブルジョワジーの秘かな愉しみ(1972/仏)

生粋の筋金入りの、「プロレタリア〜ト」の自分ですが、実は正直、どうにもずれを感じるタイプがときたまいて、その理由がすこし分かりました。
uyo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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プチブル、と言った方が当てはまるのかな?彼らの美学は終始「体裁」にあるのですね。彼らのこだわりは、どうやら「うんちく(知識)」と「人間関係の調整」にあるらしい。酒の飲み方を知らないと言って、運転手を小馬鹿にし、肩書きのある友人とのつながりを保つ為に、何度もお食事会を繰り返す。それでもなお、自分のセリフが分からないまま、大勢の観客の前に立たされて赤恥をかく夢や、つまらない喧嘩の末に相手を撃ち殺したりする悪夢にうなされる。

労働者達は、「体裁を取り繕わない事」こそに美学があるので、ブルジョワにとっては「信じられないほどみっともないくせに、恥ずかしげもない奴」と言う感じがするでしょうねえ。すんません。

しかし実際の良識あるブルジョワさんは、基本的に「克己の人」と言う印象があります。うんちくではなく深い「知性」があり、たくさんの人間たちと、バランスのとれた知己関係を築くことが出来る社交性を身につけている。その彼らの働きによって、封建制度の単純なタテ社会の崩壊後、複雑化した社会がまろやかにかつ効果的に運営されていったわけで。

ありがとうブルジョワジー。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (6 人)ジェリー[*] けにろん[*] よちゃく[*] ジョー・チップ[*] tredair[*] 太陽と戦慄

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