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[コメント] フリージア(2006/日)

中途半端な情念などヌルくてかなわん。どこまで行っても己の内側を抉っていく荒涼とした世界観の原作に遠く及ばず。
ざいあす

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







せっかく仕事早く切り上げて黄金町まで行ったのに。ちょっといまいちでした。客は自分入れて3人。

敵討ち法のシステムや登場人物は原作をほぼ踏襲したものの、「なんとか計画」とかいう新型爆弾の極秘実験の話を新たにプラス。というか、これが結果的にマイナス。なんだか三つ巴ラブみたいなヌルイ話になってしまった。

原作ではそれぞれのキャラが絡んでのケミストリーはあるものの、行き着くところはみんな己の内側へと潜っていく。底なしの深い孤独といいましょうか。その荒涼感がたまらないんですけど、映画ではそのあたりのヒリヒリした空気が足りなかったように思う。

キャラが非常に浅かったね。溝口はただわめいているだけでえらい軽い。「殺し屋1」の浅野君みたいに軽くてもヤバイ空気は出せると思うんだけどね。新人山田君もマンガでは重要キャラに成長するんだけど、柄本君はヘタレのまんまだったし。「幽霊」も全然ダメ。

アップで長々と回すところやバイオリン使った音楽など、熊切監督のセンスがわからなかった。なーんか叙情に流れてるなぁーという感じ。

ただ1箇所、トシオとの決闘場面でのロケ場所が川崎区池上町のJR貨物線の高架下だったのに感激。あそこから在日タウンの入り口あたりに地元の人が花を植えていて、手書きメッセージとともに味があって和むんです。

それはともかく、「鉄コン」みたいにマンガを再現するのでなく独自の話を作った心意気は良いとしても、低予算を逆手にとった工夫も感じられずショボさが目立つ残念な結果でした。

(評価:★3)

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