「模倣犯」というより「確信犯」。「黒い家」じゃないけど、この映画には愛がない。

ラストで、とってつけたように偽善的にまとめたものの、その暗い色調とナメきったような音楽から、裏に蓄えた悪意がアリアリ。（としか受け取れなかった）

どの人物も（演技うますぎた山崎努でさえも）見ていてうざったくなるような平板で浅い人物描写。醒めきった視線のカメラ。わざとじゃなかろうか？おかげでピースじゃなくても、「おまえら全部死ね。」と思ってしまう。「どうして僕のレベルに来てくれないんだ。」と言ったピースの孤高な苛立ちに同調してしまった。

あの編集長の、何言ってんの？全然間違ってないよという態度は、監督の心境そのものにも思える。

ピースの内面も掘り下げられておらず、もとより中居君（セリフの発音ダメダメすぎ）を主役に起用にした時点で、人間を描くよりそっちの方にエネルギーを注いでしまったのではなかろーか。スキャナーズばりのあのシーンではホントに痛快なんだもん。ラストも、自分の予想では「セブン」みたいにどん底に突き落としてくれるのかと期待したのだが。

ある種痛快な映画でもあったけど、たぶん自分のフォースがダークサイドに偏っているせいだろう。ダースベイダーに変身する前に修正しなくちゃ。こんな映画見て、自分の中にある悪意を増幅させているようでは救いが無いですよ。ありていに言えば、コミュニケーション不全と孤独から湧き出る悪意の凄さを屈折しながら叩きつけた映画ってとこでしょうか。