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[コメント] ヴェロニカ・ゲリン(2003/米=アイルランド=英)

ケイト=ブランシェットの熱演に感歎し、麻薬という社会悪に心が震えた。しかし「迫真の演技」とは言えないのは、DVD特典でヴェロニカ=ゲリン本人の弁舌を視たからである。3.9点。
死ぬまでシネマ

DVDには、映画本篇では却下されたジャーナリスト保護協会でのヴェロニカ(ブランシェット)の受賞スピーチの未公開シーンと、実際の授賞式でのヴェロニカ本人のスピーチが並置して納められている。最初にブランシェットを視てその演技と気迫に感歎したが、続けて視た「本物」はまるで違った。現実に社会問題と直面し、危険と背中合わせで生きているジャーナリストの、女性の姿がそこにはあった。その言葉には解決されてない様々な問題への苛立ちと、焦りと、疲れが見て取れた。それでも尚、信念と周囲の支援によって闘い続ける女性が、そこにはいた。ブランシェットは「熱演」に過ぎなかった。…

映画で疑問に思うのは、ヴェロニカが全くの孤軍奮闘・孤立無援である事だ。彼女がどう仲間のジャーナリスト達、社会運動と連動・共闘していったかは全く描かれていないため、彼女に対して観客が益々「無謀」という感想を持ちそうなのが残念だった。

その辺にもJ.ブラッカイマーのいやらしさがありそうだ。彼なりの正義感で創ったのだろうが、ヒーロー(ヒロイン)ものにして真の社会性が希薄になってしまった。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)Orpheus 水那岐 RED DANCER プロキオン14[*] イライザー7

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