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[コメント] 私は貝になりたい(2008/日)

結局メッセージは弱まってしまった気もするが、主演2人の頑張りもあって「観ている間は」結構佳かった。☆3.7点。
死ぬまでシネマ

'59年作に於けるフランキー堺の豊松は「こんないいひとが」という哀しさから来る怒りがあった(『拝啓天皇陛下様』('63)の渥美 清のように)。一方中居くんが演じると、普段から鬱々とした人物が酷い目にあってキレそうになっている映画に見えてしまう。しかし、現代では彼みたいなひとが演った方が合っているのかも知れないとも思った(効果という面から見ても)。

そしてそこへ仲間をあてがったのは見事というしかない。不必要にジメジメした中居に対し不必要に明朗な仲間の、よく解らない夫婦。映画のバランスという点にだけ着目すれば、中居の欠点を見事に補っている(これは宮崎あおいでは全く良くない)。SMAP全体の為の戦略としての中居くん底上げ企画なのだろうが、そこに仲間の起用は外せない一手だったと言えるだろう(但し'08年のNHK紅白司会まで巻込んだキャンペーンには辟易する)。

  ■ ■ ■

巣鴨プリズンの描写が細かく、大岡昇平作「ながい旅」('82)中の記述と多くが一致する('59年作ではこんなに細かくなかったと思う)。「ながい旅」の映画化である『明日への遺言』('07)と対にして観ろという事か? なぜこの作品のリメイク?と思っていたが、これもこのタイミングで創られた理由の一つだろうか。

(評価:★3)

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