コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 母なる証明(2009/韓国)

「映画」を創ろうとしているのは解る。前半は期待に中々映画が追いつかずイライラし、後半は追い上げたものの及ばなかった。☆3.7点。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この母親は別に狂ってはいない。普通の母親である事を証明しただけだ。まぁ証明できない母親が増えている訳だが。それは映画としてはどうなのだろうか。普通の母親を超えた方が良かった気もするし、「普通の母親にもなれなかった」としてもそれでもまだ良かったのではないだろうか。

詰まり、息子が犯人なのは最初から(ほぼ)判っている。だから映画としては、実は息子は犯人ではなかった、または息子は犯人ではあったが、思っていたような犯人ではなかった、という方が普通に面白い。それが普通に息子が犯人だった訳だから、きっとそれを普通以上に描き切る自信があったのだろう。最高評価を出した評者はそう評価したのだろうが、俺には届かなかったように思える。

詰まり、母親は息子を信じていた(信じたかった)。それによって突き進んだ。突き進むにつれてその念は強くなった。ところが息子は犯人だった。どうしようもなく、身も蓋もなく犯人だった。突き進んだ母親は最早止まれなかった。という物語である。映画としては、母親は息子を疑っていたが突き進んだ、とか、最初から息子だと判っていた、という方が面白かったのではないだろうか。無論、それでも尚描き切る自信があったのだろうが、俺には届かなかったように思える。

母親役のキム=ヘジャはともかく、息子役のウォンビンはこの映画を支える程の演技力はない。というかもろに「悪しき韓流スター」そのものである。息子役が違えばまた評価も変わっただろう。また、主演2人以外の登場人物が「物語のための存在」に過ぎない所が評価を落とした。詰まり、悪い友人・被害者の女子生徒・更なる被害者の老人、皆そのものの「生」を生きていない。母子の物語に供されてしまっている。

無論、それを上回る<狂気>で母子が「人間」(映画)を描き切れるのであれば、周りの人物がどうであろうと構わないのだが。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)緑雨[*] クワドラAS[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。