[コメント] Dr.パルナサスの鏡(2009/英=カナダ)
作品としては何とか「テリー=ギリアム」の体を成している。その事に正直ホッとしている監督自身の姿が思い浮かび、同情の念を禁じ得ない。☆3.5点。
『グリム兄弟』でも思ったが、テリー=ギリアムは本当についてない(相変わらずついてない?)監督だ。元々制作側と軋轢を繰り返して来た作家ではあるが、そこに追い討ちを掛ける数々の不運は、必然的に彼から狂気を奪い弱気にさせたのだろう。観客は彼が作品を作り続ける事を望み、彼も何とかして作品を生み続けようとする。元々監督が誰であろうとそのビジョンが完全に映像化される事はないのだから、どこかで折り合いを付けなければならない。その理性はギリアムのストレスであり続けてきただろう。ピカソであろうが黒澤であろうがたけしであろうが、皆そこで苦悩しているのだろうが、狂気を作品に結晶化させる奇跡的な「決定的瞬間」を彼はいつも奪われてしまってきたんじゃなかろうか。
ところで、恐らく4人の内ジュード=ロウが最も評価が低いのだと思うけど、俺の頭の中ではこの映画は「梯子を登るジュード」になっている。恐らくジョニデの評価が高いのだろうが、他の3人って俺の中じゃ似てるんだよな。梯子というのは美味しい画柄ではあるが、そこに異分子ジュードを充てたのは良かったと思う。4人が演じる事がトニーの様々な内面を描く(勿論ジュードは<軽薄>)、という事に結実出来てないのは残念。
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