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[コメント] ヒーローショー(2010/日)

どこが『ヒーローショー』じゃ。ヒーローになれないバカ者達のあがきもがき。☆3.9点。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







確かに後藤淳平(勇気)の演技は素晴らしい。しかし演じた勇気が格好いい人物だったかというと疑問。自らの先行きと年上?のあさみ(ちすん)との結婚を考え始めた男が、後輩の頼みとはいえ何故暴力沙汰に勇んで飛込んだのかは、映画では説明し切れていない。なので文脈で好意的に解釈すると、閉塞感の憂さ晴らし、嘗ては攻撃的だった自分を取り戻そうとしたのかも知れない。しかし何れにしても、他の登場人物達と同じく、言い訳無用のクソ短慮以外の何者でも無い。

この映画の登場人物達は大部分が「他人任せ」である。皆それなりに生計を立てようとはしているが、いざ何かのトラブルが生じた時、その解決は他人が「何とかしてくれる」事に安易に頼ろうとする。トラブル相手より強い存在を持ち出し「力」に頼って、という「少年ジャンプかよ」で簡単に一線を越えられる辺りは、果たして若さで説明していいのだろうか。

この映画で最終的に頼られるのは、自衛官上がりの勇気とクソ丸こと鬼丸(阿部亮平)。頼まれたら断れない男とゴキブリ人間凶器が結局事態を最悪に迄持っていく。

ブチのめされた、ブチのめし返しちゃるちゃるという時点で、その帰結としての殺人の可能性に普通は気付く。最終的な処理を全く考えない儘に始める連中に唖然とするが、しかし、これは現代でも見掛ける光景である。暴力を全く意識しないで日常を送っているひともこの世にはいるらしいが、この平和ボケした日本の中ですら(だからこそ?)、俺は日々その気配を感じている。呑み屋街で、終電の車内で、危険は常にある。皆んな、落とし穴には気をつけて生きていこうな。

福徳秀介(ユウキ)もよかった。彼によって現実界でヒーローになる難しさが表現される。

(評価:★4)

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