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[コメント] ミッドナイト・イン・パリ(2011/スペイン=米)

ウディ=アレンにしては力が抜けているような、いや、元々力が抜けた映画しか撮らない監督だったっけ? ☆3.9点。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
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久し振りに観たウッディ=アレン監督作。このひとの映画って、観るまでにホントにエネルギーが要る。そして観れば、観てよかったナと思うのだ。

いつも乍ら夢想的で大人になれない主人公が出て来る。そして変に利口ぶろうとする似非インテリ集団。結婚寸前の恋人までコレだもんな〜(そしてその親…)。<現代社会>の方の登場人物は全部監督の自画像であり、自己批判・自己憐憫である訳なのだが、皮肉たっぷりであるのに下卑てないのが佳い。蘊蓄やスノビズムに浸かり切った現代人へのペーソスが、突き放しつつも何とも言えないおかしみと暖かさを生み出している。

今回は錚々たる<1920年代組>と<ベルエポック組>が出て来るが、彼らにはウッディ=アレンは辛辣ではなく、ただただ憧れと尊敬を注ぎ込んでいる。些か型通りで退屈、「何時の時代も云々…」というお約束テーマに供せられて行くので、そういう神の目視点で見ると悲しげな<幽霊たち>に見えない事も無い。でもやはり監督の尊敬と愛があるから、そして主演が中々適役だったので、何とも言えない暖かみに包まれる。

オーウェン=ウィルソンが佳かったね。ぼーっとした時の田中邦衛、というより小林桂樹的な顔、詰まりはJ.=スチュアート的な善人性が佳かった。

ラストシーンは、この街でなら現代でも新しい夢を見る事が出来る(←一緒に夢を見てくれるパートナーに出逢える)、というアレンからの花の都賛辞と受け取りました。

(評価:★4)

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