メタ写真背景とセルアニメの融合は、今回も実写以上の美しさを描き出している。喧騒と汚濁の街・新宿も、記憶の底から眺めれば美しい。御苑を水晶玉に使ったのもお見事だ。

大人の女性に憧れる少年が多い事は知っていたが、中高生の頃の自分にはそんな余裕は無かった。学校が牢獄であるとしても、やがて来る卒業後の外社会に憧れを抱く余裕が無かったからだ。そういう意味で、今作の主人公は侠気のある奴で、尚且つ繊細さを持ち合わせるなら、孤独なOLは可愛くなってしまうのかも知れない。

だから終盤までは作品の力をぐいぐい感じていたのだが、涙がそれを断ち切ってしまった。いや、皆さんが言う様に、積み上げてきたものが感情の奔出を支えているのだとは思うのだが、最後の最後で「作品」になってしまった感じがする。新海 誠はやはり「新海誠作品」を見せたいのだろうか。勿論そうか、と言うかまさしくそうか。う〜ん、残念だなぁ。