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[コメント] ソロモンの偽証 前篇・事件(2015/日)

前後篇連続で鑑賞したのでどこまでが前篇だったかハッキリしないのだが、前篇が佳く出来ていたのは間違いないと思う。☆3.9点。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







冒頭から自然に登場する普通の女子中学生が主人公(藤野涼子)だが、衝撃的な事件に直面してから、観る観る内に輝き出す。後でこの映画が日本映画史上最大とも言われるオーディションを行なった事を知ったのだが、成る程と思わせる逸材だった。どこかに「三國連太郎以来」とあったが、他にもいるんじゃないか?役名その儘のひとって。兎も角、「○子」という名前を自分の名前として引き受けてくれたのは嬉しい。

原作がどうなのか全く知らないが、映画を真摯な少女の視線で描く姿勢で前篇は成功している(え? 誰かがもう言ってるって?)。

ただ、映画全体では数多くの違和感を感じた。それは裁判の進行に従って増えて行ったので、前篇観賞中には少なかったのだが、その種は前篇で蒔かれていたとも言える。

自分にとって残念だったのは、樹理(石井杏奈)と松子(富田望生)が男子生徒たちに殴る蹴るの暴行を加えられるシーン、その時間軸がハッキリしなかった事だ。台詞や画面の中に手掛かりがあったのかも知れないが、映画自体は「自殺」遺体発見から始まっているのだから、もう少し丁寧な演出が欲しかった。あそこに出てくる柏木君(望月 歩)はどういう存在なのか、彼が藤野を罵るだけで自分については何も言わないので、以後そればかりが気になるという重大なロスを生じた。

また前篇の時点でどの程度大出(清水尋也)について描写されていたのか判らないが、彼の家庭環境は兎も角、彼の行動や人格について説明が不足していると感じた。大出と2人の「子分」(石川新太加藤幹夫)の力関係は、(僅かな台詞で済ませているが)もう少し丁寧に描いておくべきだったと思う。

(後編のレビューにつづく)

(評価:★4)

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