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[コメント] シンクロナイズドモンスター(2016/カナダ=米=スペイン=韓国)

ダメ女がシンクロ怪獣絡みに元気を取り戻す映画、とは解って観に行ったが、思った以上にヘビーで蒲団に寝ゲロしそうになった。☆3.9点。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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間違いなく意地悪な映画で、誰が意地悪かと言えば監督。

恐らくダメアル中の映画と理解する人間が多いと思うが、この映画が気持ち悪いのはアルコールのせいではない。登場人物の問題は、(本人たちの理解とは違って)アルコールではなくもっと根本的な部分に起因している。

ダメ人間に囲まれた(自分もその一人だった)主人公が、超常的なエピソードを機にそこから脱出する!という話ならカタルシスもあったのだが、(一行紹介ならそうなるのに実際には)そうしてない。

主人公が脱出する先に待ってる(?)元カレ、こいつは主人公のアル中にウンザリして一旦切捨てるが未練断ちがたく自分が社会的に優位にある事を逆手に助けに来たフリをしていた奴だが、こいつがまたパッとしない。詰まり、主人公がそいつに還っていくのなら、全然脱出になってないという皮肉。

最初は親切な同級生と思っていたら、段々猟奇的になって、最後には「お前が星になれ〜っ!!」されてしまう<最初から眼中に無かった男>。途中からどんどん悪者→敵にされてしまっているが、何となく身につまされてしまう観客(男)も居ると思う。主人公がハサウェイだから対比されて如何にも猟奇男・ストーカー男・DV男という事になるのだが、その境界線は意図的に明瞭(レクター博士みたいに)にされず、つれなくフラれた男・離婚された旦那・メールでやらかした男すら包含される枠で描かれる。このどうしようもない居心地の悪さに監督の底意地の悪さが見える。詰まり、同級生男は性格的に多いに問題があるのだが、本人にも改善したい欲求があり(にらみ合うシーンの何とガキっぽい事!)、それが唯一可能なのは主人公なのだが何せ<最初から眼中に無かった男>なので、「お前の面倒なんかみてられるか〜!」と星になってしまう、という展開。

それを際立たせる為に、アル中掃溜めの中に自分では何も出来ないのに<イケ面>というだけで(実際はそうでもない)、主人公とデキちゃうイエスマン君とか、前述のダメ元カレとかをわざわざ用意する。

性暴力・モラハラ・格差暴力を色濃く示唆し乍らそこへの根本的な解決は提示せず、主人公も<女>に頼って生き延び楽しもうとする。詰まり「人間の尊厳を損ねたら星になる事も仕方ない」という、ダメ人間は何処までが許されるか、ダメ人間の選択の自由を宣言した(が救いは無い)映画とも言える。

(故意による無差別殺人、という決定的な悪はある。通り魔殺人者の論理なんて砂場でダダをこねるレベルなのだという告発とも思うけど、だから主人公が「ドローンで殺される側」に乗り込むというのも考えさせられなくもないんだけど、この映画の不真面目さでそれを言われても『サマーウォーズ』で家族の大切さを説かれてる様にしか響かないんだよな)

モンスターとロボットのデザインに既視感が半端無く、映像自体はそこそこヤル気を見せるという底意地の悪さもある。

(評価:★4)

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