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[コメント] 半世界(2019/日)

役者が役(世界)を演じる意味。☆3.9点。
死ぬまでシネマ

稲垣吾郎を始めとした有名役者達は、それぞれが誠実な人柄を匂わせ乍ら、しかしどうしてもその画面(世界)に完全に馴染みきってない、役に没入しきれてないように見えた。芸達者な長谷川博己池脇千鶴ですらそうで、3人組では渋川清彦が一番それらしく見えたのは、彼が一番有名でないからか(失礼!!)。

普段TVドラマや劇映画を見ている以上にその事が気になったのは、この映画がより実生活・実世界に近接した物語であろうとしているからだと思う。最近『佐々木、イン、マイマイン』と立て続けにこの映画を視たのだが、その意味では『佐々木』の役者達の方がずっと役世界に没入出来ていた。彼等が有名でないからか(失礼!!)。

高村紘(稲垣)は炭焼きの仕事をこなし、瑛介(長谷川)も自分の仕事をこなす。その描写が劇世界を描こうという制作陣の誠実さを炙り出す。それでいて、稲垣はやっぱり髭を生やしてもどこかでSMAPだし、長谷川のアクションも生の喧嘩や格闘にはなり切れない。… でも、それで(も)いいのだ。役者を通して我々は役(世界)に沁み込むのだ。

佐々木』と立て続けに見た事はこの事への大きな気付きになった。あっちの映画がどうだというのでは無く、<半世界>でも、<世界>なのだ。

     ◆     ◆     ◆

と言いつつ、中々<男>なカメラワークにも魅了されていたのだが。

(評価:★4)

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