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[コメント] リラの門(1957/仏=伊)

フランス映画らしい見事な人間模様の描き方。☆3.9点。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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"芸術家"と彼の家に押し掛ける友人ジョルジュの人柄が佳い。彼らの行動は「そうはしないだろう」と何度もこっちの予想を裏切る。それは彼らが何があっても決して友人を見捨てない事による。

ろくでなしを自認するジョルジュ。彼は他人(しかも世間の人々が恐れる極悪人)の世話をする(人助けが出来る)事がとても嬉しかったのか、過剰なまでにバルビエに奉仕する。最初私はその小市民性に卑小さを見出していたが、彼らの行動は次第に私自らの卑小さをさらけ出す事になり、結果自らを恥じる破目になった。"芸術家"とジョルジュの行動原理は私の邪推なんかよりもずっと単純であり、その中心には決して自己本位なんかは無かったのだ。

全ては優柔不断で他力本願なバルビエに起因する。だから最終的な報いを彼が受けた事で本当にほっとした。しかしバルビエの身になれば、母親のように優しいジョルジュについつい甘えてしまったという事なのだろう。

マリアの造形にもやるせなさを感ぜざるを得ないが、残念乍らイザという時に大抵の女とはかくも愚かなものである(と私は思っている!キッパリ)。しばしば男は煮え湯を飲まされるが(バルビエのような奴ばかり得をして)、時にはそれが女の可愛さとなるのだから致し方無い。

(評価:★4)

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