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[コメント] 元禄忠臣蔵・後編(1942/日)

前編に続き、見事なセットの中で緩やかに流れるワビサビ。死ぬべく運命づけられ、それを全うし、また仲間達にも全うさせた男の物語故、軍部に対する抵抗は全く出来てないと存ずる。☆3.9点。
死ぬまでシネマ

前編に続き、もう二度と見られないと思う程見事なセットは、それだけであれば☆5点の価値がある(建築監督=新藤兼人)。時局の要請に基づき忠魂を貫く一団を描いてるのだからして、軍部に対する抵抗は出来てない。

映画は内閣情報局の全面的協力を背景に、フィルムも制作費も度外視して制作された。新藤は通常の制作費全体が6〜8万円の所を、この作品ではセットだけで38万円を掛けたと言っている。映画冒頭に掲げられるは「護れ 興亞の 兵の家」。国の大金を引き出し、文句を言わせない内容に仕上げたのは捻れた感情と言えるか。

しかし乍ら全く抵抗していないかと言うとそうではなく、運命に翻弄される人間への同情、体制への抵抗等の裏テーマも垣間見える。始終薄笑いを浮かべる大石内蔵助(河原崎長十郎)は、或る種の狂気さえ帯びている。討ち入り場面が無いのは驚くが、この映画の性質からすると寧ろ殺伐な討ち入りこそ異質であろう。それは大石始め四十七士の物語の中では寧ろ一過程に過ぎないのだ、という主張が見て取れる。

高峰三枝子の異形は滑稽ですらあり物語から浮いている。しかしそれでも尚、美しい。

(評価:★4)

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