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[コメント] 大樹のうた(1959/インド)

家族を失った青年が、家族を取り戻す物語。☆3.8点。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







姉は遠い日の幻となり、父もその後直ぐに失った。母には甘え続けたが、疎んじている内に失ってしまった。ひょっとしたらそうした生い立ちが、オプーの創作の芽になっていたのかも知れない。しかし最愛の妻を失う事で、そうした自身の境遇さえ生温かった事を思い知る。

詩人の彷徨は市井の人々にとってはまだまだマヤカシに見えなくも無いだろうが、釈尊に限らず古今東西、古来ヒトは漂泊に生き且つ死を迎えてきた。

その果てに、オプーは子を受け容れる。父子の悲劇も多い中、この力強さには(鬚の濃さには)感動せずにはいられない。

美しき幼な妻がまた佳い。シオシオと泣いていたかと思うとキッパリと決心する。優柔不断な夫の灯火となる。都会に出たら想像以上の貧乏に「何でこんなメに…」と再び涙するが、眼下に幼な子を見るとそこで既に悟っているのである。彼女は夫に「泣いてません」と言い切る。涙は見事に洗い流した。最愛の妻を失う事は主人公の最大の試練なのだが、それを成立させ得て余りある。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ペンクロフ[*] けにろん[*]

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