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[コメント] 突入せよ! 「あさま山荘」事件(2002/日)

面白かった。迫力あった。リアルさに唸った。作品の良さは素直に認めよう。・・しかし,あの事件をこう楽しむのか?
死ぬまでシネマ

 警察官のおっとりとした人間臭さに釈然としないのは、こちらの偏見か。 警察組織間の対立は、流石に現実が基になっているだけに、押井監督の『攻殻機動隊』や『人狼』はもとより、ハリウッドの「州警察 vs.FBIもの」よりよく描かれていた。しかし警察官たちがあのように爽やかな人物な筈がない。特に戦闘部隊である機動隊にはもっと高圧的な殺伐さがあった筈だ。『御法度』の新撰組に似た違和感を感じる。

 『金融腐食列島』で予想外にサラリーマン層を小屋に引き戻した原田監督が次に狙ったのは、当時の国民誰もが「その時」を刻印しているこの事件とは、いやはや流石というか、商売人だなあ・・・。

 事件から30年経ってもう連合赤軍の事を同情的にみるひとも居なくなった。「突入」の現場がこうも英雄的に描かれるとは、日本の情況の変化に感慨を禁じ得ない。「映画で勝負する主義」者のぼくだが、この映画は如何にお断りがあろうと現実の事件を描いた作品に違いない。人間の集合には必ずドラマがあり、人間の背後には必ず背負うものがある。それを如何に魅せるかは監督ら制作側の腕の見せ所だが、それによって何を描こうとするのか、も重要ではないのか。ただのエンターテイメントではぼくは満足できない。

 さて今度は『鬼畜大宴会』でも観るか・・・。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ぱーこ ジャイアント白田[*]

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