総制作費20億円をつぎこんでるだけあって火山噴火、地崩れ、津波、逃げまどう人々達…など凄惨な地獄絵図を確かにスペクタクルに描けていた様に思う。一部でチャチなセット丸出しな点はあったものの、息もつかせぬ恐怖感を劇場で味わう事が出来た。

…一瞬だけね。

肝心のストーリーは全くもって陳腐。中でも最大の失敗は草なぎ剛と柴咲コウのラブストーリー。この二人が一体いつの間にあそこまでラブラブになったのか訳が分からない。二人きりのシーンは驚くほど少なく、三回目ぐらいにはもうキスシーンだった。俊夫（草なぎ剛）や玲子（柴咲コウ）の見せ場を描かないままラブラブになってしまったので、ヘリに乗り込む俊夫を玲子が必死にバイクで追いかけて来たシーンも冷めた。この危機下で「抱いて」とか言ってるシーンも冷めた。

序盤で自分達の命の事を最優先に心配していた俊夫が、レスキューとしてひたむきに人命を救助する玲子の姿を目の当たりにして、「守るべき者」の存在に気付き、命がけで任務を遂行する…。 などといった展開も「アルマゲドン」だか「ディープインパクト」だかで何度も使い古されていて、新規性に乏しい。

ラブストーリーがグダグダでも、脇がしっかりしていれば映画として纏まりがあったんだけど、やはり脇もグダグダ感ありまくりだった。 ミッチー演じる達也なんてその人物を把握し切れていないまま突然殉職してしまったので泣けやしなかったし、田所（豊川悦司）と鷹森（大地真央）が元夫婦であった設定も、最後まで生かされる事無いまま終わってしまった。 色々やり散らかさないで、どのエピソードか一つに焦点をあてて描く方が入り込める。最近の映画は無駄にキャストを出し過ぎなんだよなぁ…。

とまあ相変わらず色々な不満点はありますが、、。 美咲（福田麻由子）が母の最期を看取る病院のシーンはなかなか良かったと思う。草なぎがバタバタしててあのシーンでの福田麻由子の印象が薄かったのは残念だけど、看護師はいい味出してたなぁ。パンフレットで確認した所、あれは前田愛だったのか！ ちなみに美咲の母親役が木村多江という事に、パンフレットを見るまで全く気付かなかった（笑）。