[コメント] EUREKA(2000/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
正直言ってこの映画の評価には、とても頭を悩ませました。
「作家性=良い映画」としても良いのなら、この映画の評価をもっと上げるべきではないか、でも、その作家性も中上健次の借り物なんだよなあ、それに、作家性や文学性ではなくて、映画としてどうも釈然としない所があるしなあ、それから、判り切った展開を4時間かけて見せる事に意味があるのか、それとも単に予定調和か?とか、、、云々。
てな訳で、この映画を観てから何度も反芻したのですが、頭に浮かんでくるのは、全体を通してのアザとさと、台詞がクサかったなあってことばかりだったりもします。
実際、エンディングでこれ見よがしに、「EUREKA」ばばーん、って出しちゃうのってどうかと思うし、「ロートレアモン」を読む少年なんてのを、バッチリ写しちゃうってのも、好みじゃなかった、、、、。その辺考えると、台詞の少ない割には、随分とウルサイ映画だったなあって感じがするし、一旦そう思い始めると、この映画の良かった部分ってのは、ほとんど観終えた達成感と映像の美しさのみに起因してるような気もしてくる。まあ、それだけで十分といえば十分な気もするしなあ、、、。
それに、洋画のフォーマットそのままに日本人を写したところで、良い映画にはならないんじゃないかなあって、個人的には思う。なんとなくその辺の違和感と言うか、白々しさってのがどうにも気になって仕方がない。全体が寓話だと思えば、リアリティーの希薄さは気にならないけど、そういうレベルではない部分で、地に足付いたところが欲しかったなあ。
結局のところ、やたら時間が長いんでなんかあるんじゃないかと思わせつつも、今どきの日本映画の標準作だったなあ、ってのが今のところの感想。
いろいろ偉そうな事を書いてしまいましたが、あくまで私の好みの問題ですので、お好きな方は気を悪くなさらないで下さい、むしろ、信頼するコメンテーター諸氏の高評価にのれない自分が悩ましかったりします。
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