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[コメント] トラ トラ トラ!(1970/日=米)

これは『』だ!
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 今思う、真珠湾に爆撃され煙がもくもくと舞い上がる、淡々と展開する画像、そして迫力、いずれもが黒澤映画として投影するとなぜか胸がしめつけられる。これは破滅の物語だと思う。まさにカオス、『』ではないか。昨今のリアルな戦争映画にはない映画らしさと、かといっておもちゃではない真の迫力。

 ここに黒澤を見いだそうとするなら、やはり当初の脚本から垣間見る以外になさそうだ。黒澤はこの映画で何を伝えたかったのだろう?

 おなじ年に『どですかでん』が公開されている。

 まるでこの映画に合わせるように、黒澤の復讐とも思える行為で、結果『どですかでん』はこけてしまった。

 黒澤フリークとしてはこれまでも、触れたくない領域の映画であり、やはり自殺の遠因となっていると思われる企画だけに、言葉にしようのない思いがふくらんでくる。

 黒澤監督は、この企画の前に『暴走機関車』に挑戦しようとして断念。(後にアンドレイ・コンチャロフスキーによって映画化)そしてこの作品へと矛先を変える。

 ノイローゼということで降板させられた黒澤監督だが、考えてみれば黒澤映画の方法論そのものがノイローゼみたいなもので、過去の名作もいわばノイローゼ状態から生み出されたものなのだ。

 原因は複合的で完結したものでもないだろうが、せめて黒澤死語何年か経過した後に、黒澤が携わったフィルムを公開してほしいと、心から思う。

(評価:★5)

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