[コメント] Shall we ダンス?(1995/日)
確かに隙のない映画だと思うんです。草刈民代の素人演技も、計算しつくあれているようでもあるし、確かにあの見事なダンスシーンを映像化するにはプロのダンサーでないとあのセットに対抗できなかったでしょうしね。
話も面白いし、相変わらず竹中尚人のベーストが利いた演技も悪くない。
しかし、しかしなんですね。あまりにも良くできすぎていて私としては面白くないんですね。
周防監督作品の特徴は子供っぽさなんです。幼さというのでしょうかね。そういう表現が彼の特徴でもあるんですね。
しかし、この映画は周防監督にとっては初めての大人の映画だったわけです。大人を飛び越して壮年というか中年以上ですね。
だからもともと若さを特徴とする周防作品の中にあって、全体を構成する話やセリフといったものに幼さが残りながら、実態としては大人の映画になってしまっている。この矛盾が映画を見終わった後にずーっと残ってしまっています。
かつて周防作品で大活躍した本木くんが、ちょい役で大人の役回りですね。彼はなかなか素晴らしい役者だと思います。彼の成長が周防作品の大きなポイントでもあったんだと思います。
でも役所さんを主役に置いて、脇のメンバーも豪勢に使って、中年の映画を作った、という時点でもう周防監督の10年分くらいの映画を撮り終えたような感じがします。
『しこふんじゃった』でキネマ旬報ベストワンに輝いた時、「少し早すぎたかな」と思いましたが、周防監督は今回の作品で一足飛びに飛躍してしまったようですね。しばらく彼は映画を撮ることができないのではないでしょうかね。
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