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[コメント] ヴィレッジ(2004/米)

シャマランアートを体現できる。シャマランが少しずつではあるが変化している。
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







とても印象的なシーンがある。

アイヴィー(ブライス・ダラス・ハワード)とルシアス(ホアキン・フェニックス)が家の先で、夜暗い中話をするシーン。草原の向こうに横一線の霧が出る。片方は目が見えない、片方は無骨でおとなしく、口をほとんどきかない。この二人の会話する姿の向こうに”白い線”が目と目を結ぶのだ。美しいシーンだ。二人の愛情が結ばれる素晴らしいシーンだった。このシーンがこの映画の愛を物語る。

ほかにもいくつか美しいシーンはあるし、色の使い方、黄色、赤、そして白、泥にまみれた茶色、これらも象徴的で美しい。

また家屋の中で人が入れ替わる。その向こうに扉がある。

そうだ、扉といえばイングマル・ベルイマンだ。

今回シャマランベルイマンを意識したのではないか?この家族。きれい事とも言える家族。何か不自然な関係と、その家。そして扉の向こう側に行き来する人の姿。

ウッディ・アレンが『インテリア』で使った家族。そしてそこで意識されたベルイマン。今回のシャマランは多いに家族を意識したようだ。

愛である。愛が主題なのだ。この愛の姿はドラマを見て行くうちに見るものの感情を多いに左右する。そして愛の姿と家族のありかたも姿を変える。この変化と最後の衝撃、そして盲目の少女に訪れる恐怖が画面一杯に表現されている。

役者陣も素晴らしい。ウィリアム・ハート。あの『アルタード・ステーツ』で衝撃のデビューをしたウィリアム・ハートが村を護ろうとする教師の役として出てくる。

エイドリアン・ブロディーも衝撃的な役回りだ。『戦場のピアニスト』で見事に感動的な演技をしてくれたこの人が知恵遅れの役をこなしている。

シガニー・ウィーバーも端役ながら印象的だ。彼女が出演していることを知らなかったが、地味で印象的な役だ。娘を町に出そうとする時、ウィリアム・ハートとの短い演技に彼女の熟練の技術が見え隠れしている。

常連なのがホアキン・フェニックスだ。彼はシャマランの映画に欠かすことのできない人物である。

(評価:★4)

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