[コメント] ローラーとバイオリン(1960/露)
ほんのささやかな物語なのに、いつまでも胸に残る映画です。
タルコフスキーワークスを語る場合、すでにこの作品の完成度があまりにも高いので、その後の作品コメントで「眠くなる」「長い」などの寸評が無駄に思えてしまいます。
実はこの作品以前にもモスクワ大学で短編を作っているのですが、これがまるで本作と異なり、切れ味鋭いシャープな作品に仕上がっています。
ロベール・ブレッソンのことが取りざたされますが、この二人に共通する幅広い知識と世界観は時代を超越しているだけでなく、映画を芸術としてとらえようとするとき、他の追随を許さない新鮮な美を鑑賞することができるのです。
「水」というテーマはすでに美大の講義にも取り上げられており、現代美術家達はすでに20世紀の後半からタルコフスキー的なアプローチを続けています。 実は、20世紀は「水」ではなく、「火」の世紀だったのです。新世紀に置かれた我々は「環境破壊」とか「自然保護」などという陳腐な言葉に吸い寄せられていますが、実はこの世界には全く別の世界観が存在することに(もっと早く)気づくべきだったのではないでしょうか?
この作品は黒澤明原案の『暴走機関車』を監督した、アンドレイ・コンチャロフスキーが脚本に参加しています。
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