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[コメント] 用心棒(1961/日)

佐藤勝のこの作品における音楽の使い方はそのまま現在も使われているのでは?洒落てるし、可笑しいし、カッコイイし、文句無し。
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 絶頂期の黒澤作品。娯楽に徹している所が凄い。これだけ緻密な計算でこれだけほんとっぽく描かれた映画もなかなか少ないといます。

 導入部の不気味さや、相対するやくざのせめぎ合い、仲代達矢というライバルの出現など、言い出したらきりがないほど盛りだくさんです。

 黒澤作品にはオリジナルの常連メンバーがいて、スタッフは勿論キャスティングにおいても、なかなか面白い所を見せてくれます。

 たとえば印象深いのは加東大介。『羅生門』や『七人の侍』とはまた違ったキャラクターで登場します。ほか藤原鎌足東野英二郎などもそうだが、志村喬も老いぼれた姿ながらなかなかユニークな役で登場するほか、あの『姿三四郎』の藤田進もおかしな役で笑わせてくれます。

 でもこの映画の見事なところはカメラでしょう。この奥行きの深さは宮川一夫ならではで、溝口映画で培ってきた能力を別の形で開花させています。

 映画というのは嘘をいかに本当らしく見せるかということだと思います。現代ではアニメの宮崎駿さんがアニメという手法を生かして誠に本物らしく嘘を描いている。絶頂期の黒澤作品はいずれもフィクションですが、リアルな表現が見事にはまっています。

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もう何度も見ている映画なので今更コメントすることもありませんが、今回は仲代達矢さんにフォーカスして見ました。

池袋の「新文芸座」です。

この映画の影の主人公は仲代達矢さん演じる卯之助ですね。

彼がピストルを持って宿場に戻ってくるシーンはとても印象的です。

火の見櫓の鐘を撃ちますね。かっこいいです。

そして最初に三船敏郎とすれ違うシーン。能ある者はお互いに直感でわかりあいます。そして卯之助の仲代達矢さんがじーーっと三十郎を睨むんですね。その凄み。

もちろん主役は三船敏郎さんですので、彼の強さは文句のつけようがありませんが、仲代達矢さんの美しくて、強烈な目線、そしてアクション、実にかっこいいです。

最後、よくみないとわかりませんが、三十郎に敗れて倒れた卯之助の体からジワーーーッと血が流れ広がるんですよ。

これ椿三十郎のラストと比較すると面白いですよね。

白黒だからまったくわからないんですが、その血まみれの仲代達矢さんの姿が妙に印象的で強烈です。

東北大地震の影響で、ずっと映画を見れないでいたんですが、こういう機会にこそ元気をもらえる映画を再見するのはいいかもしれません。

この日(日曜日)も新文芸座には多くのお客さんが入っていて、大画面のワイドスコープで見るこの映画は確かに迫力がありました。

やっぱり映画は映画館で見たいですね。

できれば大勢のお客さんが入る映画館がいいと思います。

2011/03/27 新文芸座

(評価:★5)

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