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[コメント] お茶漬の味(1952/日)

見えないところにすべてが隠されています。
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







小津安二郎監督の作品を見ていると、まずその作品の品の良さに惹かれます。美しさを徹頭徹尾意識した作品がすばらしいと思いますね。

たまたま略歴に沿って『麦秋』の後にこの作品を鑑賞したんですが、この連綿と連なる作風と、画面の奥ゆかしさにうっとりしてしまいました。

麦秋』で婚期が近い原節子さんが、この作品では、うら若いお見合いをすっぽかす女性で津島恵子さんが演じています。同じ境遇でも、設定の女性たちは『麦秋』と異なり、かなり上流な方ばかり。そんな女性たちが物語る連れ合い(夫)の価値観が冒頭からコケにされています。

でも最後の最後に「夫婦とはお茶漬けの味なんだよ。」というやさしい夫の言葉に妻がホロリとする、というお話。

見事な転換。そして見事な演出でした。

面白いのは当時の時代背景でしょうね。

パチンコ店や競輪場、野球場などがいろいろ写されているところも時代を描写していて楽しかった。

笠智衆さんが、前作『麦秋』で演じた役(医者)とはまったく違う役(パチンコ店主)で出演されていたのも面白かった。

画面から人が過ぎ去った後の余韻が残るいくつものシーンがとても印象的でした。

2010/03/17 自宅

(評価:★5)

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