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[コメント] 魂萌え!(2006/日)

少し白髪交じりの風吹ジュンさんも良いが、一人で生きてゆくことを決意してどんどん若返る彼女の姿勢がとても素敵でした。若い頃より、今の風吹ジュンさんが大好きです。
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







どうも彼女の若い頃の印象というのが、どうしても反発する女性というイメージだったわけですが、年とともにとても素敵でキレイで、魅力的な女性に変化してゆくのを嬉しく思いますね。

この映画でも夫を亡くした直後の老いを感じさせる彼女の姿も、それなりに魅力的です。娘や息子とのやりとりで、少し怒りを見せたり、姉妹とのやりとりで主張したりするその仕草などが魅力的。演技も自然で素敵です。

そうそう、四人姉妹のやりとりも面白い。由紀さおりさんや藤田弓子さん今陽子さんとの関係も楽しいですね。よくできたお話です。

三田佳子さんも、これまでの完璧な美貌から離れてうらぶれた風体の女性を演じていて、印象を大きく変えました。

加藤治子さんも相変わらず上手に演じています。

こうしてみると、言うまでもなく、これは女性の映画なんですね。男の生理とは異なる女性の世界。女性の心理ですね。林隆三さんにホテルに誘われて断るシーンなどは、男と女の生理の違いを感じます。そしてその判断に思わず拍手してしまたくなりました。こういうシーンの積み重ねのうちに、いつの間にか彼女を応援したくなっていたんですね。

夜の電車、ガラス越しに写る自分と、まどの向こうに写る自分の姿が重なるシーンが長く続きますが、このシーンの風吹ジュンさんの微妙な表情の変化、この演技は実に見事でした。胸がジーンと熱くなるシーンですね。女性が夫を失って、新たに生きる目標を見出そうとする、その瞬間ですね。その瞬間、窓の向こうに夫と別の女性が寄り添って歩く姿が見えてくる。この悲しさせつなさやりきれなさ・・・それを乗り越えて生きようとする気持ちが浮かび上がるような見事なシーンでした。

残念なことは、この監督の実力不足ですね。きっとこれはお話としてもともと面白いし、脚本も優れているから楽しむことができた。でもこの監督は自分の意思でこの映画を撮っていないような気がしたんですね。実力のある監督だとは思いますが、意思を感じられない。企画があってお話があって、それに乗った映画であって、この監督が本心からこの映画を撮ろうとしたものかどうか疑問が残りました。映画としての”らしさ”が足りなかった。

だから主人公の女性が最後に映画技師として仕事についたとき、こんな素晴らしいお話なので、印象が残らない。

風吹ジュンさんの魅力と、脇役の凄い女優陣と、お話の面白さでひきつける映画でした。

(評価:★4)

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