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[コメント] アルゼンチンババア(2007/日)

もちろん、興行としての映画なので、名のある役者を集めて、客寄せをしようという気持ちはわからなくないが、明らかにミスキャストだ。
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







話しは吉本ばななだから、この内容で悪くないと思う。特に信一が「自由でいいじゃん」と自分の母親を叱責するシーンは納得。

最後にイルカの石碑を海に落とすシーンも良い。

いずれもファンタジーだと思う。ファンタジーだと思えば恐れるものはない。だからお話しの筋としては評価してよいと思う。

だが、映画としての価値はやはり異なる。

映画はその原作から実在(と思わせる)人物が三次元化される世界である。その世界を見る側に本当に三次元の世界と思わせることが映画の魅力である。だから、映画としての魅力には欠ける。

なぜなら、アルゼンチンババアにせよ、主人公みつこの父親にしても”きれい”すぎるのである。”きれい”であることに否定などないのだが、映画の世界では陳腐に写る。役所広司にしても鈴木京香にしても、その演技に文句はない。だが、この映画のこの役を演じる者としては不適だと思う。

この男女(アルゼンチンババアとジジイ)はもっと醜い存在だと思う。もっと醜くないと、娘との距離が保てない。

娘のみつこ(堀北真希)がはじめてアルゼンチンババアと会い、抱きしめられるシーンはもっともっと醜悪でないとダメだ。みつこが異様に臭い顔をする最初の大事なシーンのはずだが、あそこが”きれい”すぎるから、その後のドラマ(親子の確執)が真実味を帯びていない。

となると、所詮吉本ばななの世界である。ファンタジーだ。なので、ファンタジーを作り出す冒頭のシーンに真実味がないだけに、面白くないのである。

せっかく実力のある監督なのだから、製作サイドがもっと吟味して、映画らしさを追及するべきだったのではないかと思えて悔しい。

監督はきっと不本意だったと思う。

(評価:★3)

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