堤幸彦監督の面白さは、その経歴による。

テレビディレクター、ＣＭ監督などを踏まえて映画の世界に入ったが、私の印象としては、テレビの『トリック』である。

ここでも阿倍寛とタッグを組んでいたが、あのシリーズの面白さは、そのギャグのうまさと、ポイントを押さえたまじめさである。

彼にかかるとキャラクターがそれぞれ生きてくる。やはりテレビで育った人の特徴だが、出演者を乗せるのがうまい。

阿倍寛もクレバーな俳優なので、堤監督の意思を十分理解し、笑わせるところと見せるところを見極めて熱演しているのだ。

この原作は『陰陽師』の夢枕獏にゆるものだが、グロの部分をわかりやすく表現していてよかったと思う。

しかし、これほどのＣＧを使い、突拍子もないストーリーを映像化できたものだと思う。

あまり期待しないで見ただけに、結構楽しめた。